軽快な音と共にボールを飛ばした俺は、「チッ。逸れたか」的からちょい逸れたことに舌を鳴らして構えを取る。
「お金を払ったからには」向こうの画面に映っている投手が投げ、
「絶対に」一球を放たれ、
「元は取る!」俺はそれを打った。
飛距離は伸びるものの、的の真隣を掠めて俺は地団太を踏む。
チックショウ、どーして逸れるんだ。
あとちょっとで景品っ、俺の景品!
「1ゲーム200円! バイトで200円稼ぐのに、約17分の労力を要する。
その労費をこれに懸けてるんだからっ、景品くらいゲットしないと元が取れない! ホームラン商品ッ、待ってろよ!」
「……空って金銭面に関しちゃ手厳しいよな」
「……というより、ケチで金にがめついというか」
二人の言葉なんぞ俺の耳に届かない。バットを持って景品ゲットにひたすら燃えていた。
勿論、現実は甘くなく遺憾なことに景品はゲットできなかった。
的がある距離までは飛ぶのに、ちーっとも的に当たってくれなかったんだよ。
必ず逸れちまう。
なんだよ、細工でもしてあるのか?!
俺はバットが悪いんだとエビくんと同じことを言い、ぶすくれながら休憩所のベンチに腰掛けていた。
燃えちまってつい600円も使っちまったよ。
楽しかったけど、景品は欲しかったな。
悔しがる俺に、「君はいいじゃないか」まだバットに当てられたんだから、とエビくんが眼鏡のレンズを光らせる。
「僕なんて三球しか当たらなかったんだけど」
いや、それはエビくんが目を瞑ってフルスイングしていたからじゃないかな。
一変して苦笑を零していると、俺はふとアジくんがいないことに気付く。
まだバッティングをしているのかと思いきや、手洗いに行っているらしい。エビくんが教えてくれた。
手洗いならすぐ帰って来るだろう。
そう踏んで俺達はアジくんの帰りを待つ。
でもいつまで経っても帰って来ない。エビくんと談笑して十分は経つのに、ちっとも帰って来ない。
迷子じゃないだろうから、きっと。
「大きい方だろうね。偏った栄養を摂取すると、便秘になりやすいって言うからきっと」
「それ以上言わなくていいよ。便器とお友達になっているって言いたいのは分かってるから」



