前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「ふーん」事情を聞いた御堂先輩は俺を一瞥した後、くだらないと肩を竦めた。

「そうですか?」楽しそうですよ、宇津木先輩が味方してくれるけど、御堂先輩はそんな野蛮な場所に行ってどうすると意見。


噂に聞くタイムセールとやらは激安商品を奪い合うものだと聞く。

行為自体が野蛮、つまりそこに行く奴は野蛮人だと言うもんだから、俺はカッチーンのブッチーン。


ちょ、なんだ、と? 今、なんっつった?

生活が掛かっている庶民に対して野蛮?

聞き捨てならないっすよ、今のは!


「そ、空。アンタ、切れてないか?」


ググッと握り拳を作っている俺に、おずおずと鈴理先輩が声を掛けてきた。

ご名答、俺はブッチンいってますよ!


「そこのアータ! 野蛮なんてなんっすか、野蛮って! 今、貴方は日本中の主婦を敵に回したっすよ。タイムセールがどれほど大切なのか、貴方は知らないでしょう!」


なんだかスンゲェうざったそうな顔をされたけど、俺はズンズンと彼女に詰め寄って物申す。


「いいっすか、毎日まいにち飯を食うってことはすんげぇ大変なんっすよ! 思っている以上に食費ってバカになんないっす!
例えば缶ジュースを毎日買うとしますっす。1本120円。それを30日買い続けるとハウマッチ?」


「……、3600円?」


「それがどうしたって顔、今しましたね! しちゃいましたね!
3600円っすよ、飲み物だけで1ヶ月3600円…、馬鹿げた数字っすよぉおおお! 飲み物だけでこんなに掛かっちまったら家計は火の車っすよ!」

 
家庭の奥様方は家計簿を見て、『あら…今月もピンチ。何を節約しましょう』と頭を悩ませるんっす。
 
大体洋服や装飾品、旅行等々を節約に回すんっすけど、それでも今の日本は不況!

夏や冬のボーナスだって出るかどうかも分からないっ!

春のボーナス?
なにそれ美味しいのレベルっす。

昔は出ていた春のボーナスなんてサライの空にサヨナラっすよ!


相当良い職場じゃないと出ないっす!


それだけならまだしも、夫の給料が減らされていることもっ、最悪リストラされることだってある!

老後のことを考えると年金暮らしなんて今の世の中、ちーっとも期待が持てない。


だからそのための貯蓄だって増やしておきたいし、子供の教育費、将来のこともある。