前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―

 

……内なるところで、理性の葛藤があっているらしい。
 
 
だめっすよ、先輩。

此処で攻めちゃあ御堂先輩にばれちまいますからっ…、うわぁあああ、そんな恨めしそうな目で俺を見ないで下さいっす!

い、いつも好き勝手させてるでしょーよっ、少しくらい我慢を覚えて下さいっす!

御堂先輩も鈴理先輩の暴走についつい、
  


「鈴理、そんなにも君はケダモノだったか?」



と訝しげに訊ねていた。


どうやら俺と鈴理先輩のやり取りには疑心を抱かなかったらしい。

まあ、先輩の理想男性像が理想男性像だしな。

今のやり取りで疑心を抱かれるであろう可能性のあるケースとして、挙げられる一例は俺が先輩に片思いしてるってところか。

だったら赤面も説明がつくし。


もし疑心を抱かれたら、これで通すか。
 

はてさて、御堂先輩はようやく“俺”という存在に気付いたらしく(やっぱり俺…気付かれてなかったんだ!)、一応「どうも」と挨拶をしてきてくれた。

初対面だから挨拶くらいはって思ったんだろうな。愛想も畜生もないけど、挨拶は掛けてくれる。

だったら俺も挨拶をせねばなるまい。

「こんにちは」

俺は頭を下げて、軽く自己紹介。

皆の後輩で貴方とは一つ学年が違う、と愛想良く告げる。

素っ気無い態度で相槌を打つところからして興味はないようだ。
ですよねぇ、僕に近付くなオーラムンムンですもん。典型的な男嫌いなんだなぁ。


思った矢先、「君は貧相な面だな」と毒づかれるもんだから、ビシッと笑みが固まる。


ど、ど、毒づかれた。もう毒づかれた。