……内なるところで、理性の葛藤があっているらしい。
だめっすよ、先輩。
此処で攻めちゃあ御堂先輩にばれちまいますからっ…、うわぁあああ、そんな恨めしそうな目で俺を見ないで下さいっす!
い、いつも好き勝手させてるでしょーよっ、少しくらい我慢を覚えて下さいっす!
御堂先輩も鈴理先輩の暴走についつい、
「鈴理、そんなにも君はケダモノだったか?」
と訝しげに訊ねていた。
どうやら俺と鈴理先輩のやり取りには疑心を抱かなかったらしい。
まあ、先輩の理想男性像が理想男性像だしな。
今のやり取りで疑心を抱かれるであろう可能性のあるケースとして、挙げられる一例は俺が先輩に片思いしてるってところか。
だったら赤面も説明がつくし。
もし疑心を抱かれたら、これで通すか。
はてさて、御堂先輩はようやく“俺”という存在に気付いたらしく(やっぱり俺…気付かれてなかったんだ!)、一応「どうも」と挨拶をしてきてくれた。
初対面だから挨拶くらいはって思ったんだろうな。愛想も畜生もないけど、挨拶は掛けてくれる。
だったら俺も挨拶をせねばなるまい。
「こんにちは」
俺は頭を下げて、軽く自己紹介。
皆の後輩で貴方とは一つ学年が違う、と愛想良く告げる。
素っ気無い態度で相槌を打つところからして興味はないようだ。
ですよねぇ、僕に近付くなオーラムンムンですもん。典型的な男嫌いなんだなぁ。
思った矢先、「君は貧相な面だな」と毒づかれるもんだから、ビシッと笑みが固まる。
ど、ど、毒づかれた。もう毒づかれた。



