「な、なっ、空の卑猥な画像か?! 無防備にも片足をあげてっ、なんてエロイ格好だ」
「ち、ち、違うっす! エロくないっす! あれは足が痺れて動けない俺なんですよ! 御堂先輩が意地悪して足を掴んだ結果、こんな無残な画像になったんっす!」
「正座慣れしていない初々しい豊福を写メにおさめてみた。
同棲しているんだ。これくらいのイベントがあってもいいだろ? 君が勝ったら、この秘蔵の画像をやろう。滅多にお目にかかれるものじゃないぞ」
「言ったな?」だったらあたしが勝ってそれを渡してもらおうじゃないか、握り拳を作って闘争心を滾らせるあたし様が後で泣くなよと不敵に笑う。
「泣くのはどっちだろうな」同じ表情を作る王子は、せいぜい頑張ることだと結っている長い髪を微風に揺らして皮肉を零した。
俺はといえばその場で両膝をついて涙を流していた。
お二人とも闘争心を滾らせる理由が不純。
もっと女性らしい振る舞いをして下さいよ。
こんなこと、普通の女性はしないっす。
攻め女とかそんな問題じゃない。これは立派な盗撮だ。
「なあ豊福。受け男ってあんなことされなきゃいけねぇのか?」
だったら俺、死んでも受け男にはなれないんだが。
「お前、あんなことされて幸せか?」
しゃがみ込んだ大雅先輩が俺に尋ねてくる。
バカヤロウっす。幸せっすよ。女性からこんなに愛されてるんっすから、幸せっ……、ただちょっと愛が重い。漬物石くらい重い。いや鉛……、とにかく重い。
「盗撮はちょっとっ……、ちょっと」
「やることが犯罪の域だもんな。リード権を奪われるだけでも苦痛なのに」
そうなんだよな。
彼女達のやることはえげつないこと極まりない。
ズーンと落ち込んでいると、「豊福帰るぞ」御堂先輩に声を掛けられた。どうにかショックから脱し、ゆらっと立ち上がった俺は鞄を持つと逸早く教室の扉へ向かう。
背後では、
「鈴理。同じ学校だからと言って豊福を襲うなよ」
今は僕のものだから、しっかりと釘を刺していた。
不機嫌に返事する鈴理先輩はキスもボディタッチもすべて我慢すると言って鼻を鳴らしている。
そんな彼女に嫌味ったらしく笑う御堂先輩は、「お手並み拝見だね」三ヵ月後が楽しみだと肩を竦め、扉の枠に寄りかかっている俺の下に足先を向けた。
「勝手なんっすから」愚痴る俺に、「ごめんごめん」でも刺激が欲しかったのだと御堂先輩がおどけて廊下に出た。
彼女を追おうとした足は、背後にいたあたし様によって止められてしまう。顧みることはない。



