―――…その笑顔があまりにもあどけなくて、あどけなくて。
まるで毒気をすべて浄化するような花咲く笑顔で言うものだから、俺は別の意味で言葉を失ってしまう。
嗚呼、反則だと思った。
お互いの関係を御堂先輩に隠しているからって、こんなにも直球に告白する、しかも目の前で告白をする、吐露する。
なんて反則だろう。
反則、レッドカード、一発退場と同レベルの域だ。
本当に先輩は反則っす。
どうして先輩はそう、真っ直ぐに俺のことを想ってくれるんっすか?
こっちが困るくらい、気持ちがストレート。
あたし様はこんな不意打ちを仕掛けてくるもんだから、こっちの身が持たない。
胸が熱くなって、体液がぜんぶ沸騰しそう。
細胞さえも煮えちまいそうだ。
今日一番の赤面かもしれない。
この顔の赤さが御堂先輩の目に触れて、関係がばれないかどうかが心配だ。
「あんたにもいつもノロケてるよな?」
したり顔で意気揚々と語る先輩、なんっすかもう、超意地悪っすよ!
「…知らないっすよ」
俺は苦虫を噛み潰したような顔を作ってそっぽを向いた。腕を組んで一の字に口を結ぶ。これ以上、俺が突っ掛かっても馬鹿を見るだけだ。
くそう、畜生、顔の火照りがおさまらない。
と、鈴理先輩がうわぁあああっと、いきなり悶え始めた。
何がどうしたんっすか、先輩…、声を掛ける間もなく、「オアズケされている気分だ!」と地団太を踏む。
口には出していないけど、彼女のオーラが物語った。
赤面している彼氏を攻めて攻めて攻めるのが攻め女であるからして、この状況は攻めるのが当たり前。
なのに攻められないとはなんたる事態だ!
触りたい、嗚呼、触りたい。あたしは彼氏に触りたいのだよエンドレス。



