ちょいと意地の悪い顔を作る御堂先輩は、意味深に鈴理先輩を見据えた。
噂、と言いますとあれですか。あれですよね。あれだったりしちゃいますよね。
その、鈴理先輩の「彼氏ができたそうだな?」嗚呼、やっぱり。
物凄い興味があるらしく、今日は連れて来ているのか? どのような男なんだ? だったら紹介しろ、矢継ぎ早に質問質問質問。雨霰のように質問を飛ばしてくる。
あの表情からして良い意味で紹介しろ、と言っているわけではないだろう。
鈴理先輩が何かを答える前に大雅先輩が口を開いた。
「此処にはいねぇよ」と。
彼の目が訴えていた。
こいつに此処で暴露したら、公の場でも鈴理先輩の彼氏を弄ってくる可能性がある。
せめてパーティーが終わるまでは彼氏の正体を伏せておけ、終わってから紹介しろ、じゃねえとメンドクサイことになりかねない。
そう許婚に視線で主張。
アイコンタクトを受け取った鈴理先輩も、「後日紹介してやる」と腰に手を当てた。
途端に御堂先輩は残念そうな顔を作る。
「なんだ、此処に連れて来てはいないのか? 鈴理が一般の男にベタ惚れというものだから、どういう男か僕が見極めてやろうと思ったというのに。
まあ、鈴理のことだから、きっと物凄い童顔で愛くるしい顔つき。
女のような可憐さを放っていて、体躯はとても小さく、抱き心地が良い…、まさしく守ってやりたい癒し草食系男子だろうな。ぽにゃほわ系だろ?」
なるほど、初対面であろう俺に鈴理先輩の彼氏ではないか疑惑を掛けられないのは、彼女の理想男性像がそうなっているからか。
童顔…、女のような可憐さ…、体躯が彼女より小さい…、抱き心地が良い…、癒し草食系男子…、ぽにゃほわ系…、嗚呼、耳が痛い。
草食男子以外っ、全部当て嵌まらない彼氏が此処にいるんですけど。
てか初耳っすっ、先輩の理想男性像ってそういうカワユイ男の子だったんっすね。
カワユさも畜生もなく、ただのヘーボン男子ですんませんっす。これでも毎日を必死に生きてる男っす。
そんな男に惚れてくれてどーもっすっ。
おかげさんで俺も惚れちまったっすっ。



