だって君には君の守りたい人間がいる。それは豊福じゃなく、君の傍にいる今の人間さ。
仮にあいつと君の婚約者が助けて欲しいと、同時に手を伸ばしてきたら、君はどちらを選ぶ? 立場上、君は第一に大雅を優先させるだろう。
そして友人に降格している豊福も聞き分けよくそれを受け入れるだろう。あまりに酷な話だ。
想い合っているからこそ、残酷なんだよ。鈴理。
好きなのに応えられない。守りたいのに守れない。守りたいからこそ身を引く。どれにしろ残酷だ。
今回の一件は特にそう。
あいつの家事情を半端に知り、半端な関係のまま、半端に支えようとする。
するとどうだい? いざという時、あいつを救えず、豊福は大いに傷付くことだろう。
こんなことなら、最初から頼らなければ良かったと絶望するかもしれない。人の負を背負う、それは生半可な気持ちでは駄目なんだ。
「あいつが傷付くなら、正直、僕は険悪な関係でも良いと思っていた。もう泣き顔は見たくないんだ。あいつの、泣き顔だけは」
ねえ鈴理、僕は豊福の王子でいようと思っていた。
しかし、思うだけじゃもうダメだと思った。
思うだけの気持ちでは本当の意味で人を守れない。
―――…僕は豊福の王子だ。
ここで宣言しておくよ。
守れない王子など不要だと思っている。
僕の傍にいることが彼の自由に繋がるなら、傍に置くさ。この先、ずっと。
君はどうだい? 心境の変化はあったかい?
友人として置き続ける覚悟、もしくは斬り捨てる覚悟は生まれたかい? 今の豊福に良き後輩でいろ、なんて無謀だろうけどね。
彼だってそこまで出来た人間じゃない。



