翌日。
俺はある程度、覚悟して学校に登校していた。
なにせ昨日のやり取りに決着がついていないままトンズラしちまったんだ。
十中八九、一悶着があるだろうと予想していた。
御堂先輩もそのことをすこぶる気にしてくれていて、「僕と同じ学校に通おう」そしたら四六時中、僕は君を守れるよ、と心配してくれた。
まず言いたいことは御堂先輩の通う学校は華の学院。乙女しか集うことのできない女子校である。よって俺はそこに転校することは不可だ。不可!
それがなくとも俺は学校を休む気にはなれなかった。
逃げても一緒だし、いつも御堂先輩に守ってもらうわけにはいかないじゃないか。俺がカッコ悪い!
ほんっとイケウーマン婚約者を持つ彼氏って苦労が絶えないよな。俺の立場がてんでないんだから。
覚悟していたとおり、昼休みに事は起こった。
前触れもなしに大雅先輩が俺のクラスに来たんだ。
険しい面持ちでフライト兄弟と飯を食っている俺の前に立った俺様は、じろっと裏切り平凡くんに視点を置いてくる。
何も知らないフライト兄弟はただならぬ雰囲気にキョドり、教室にいたクラスメートは何事だと野次馬魂を燃やす。
ただひとり、平然と弁当を食べている平凡くんは大好きなダシ巻きを咀嚼。ダシの塩梅が美味いな。
「鈴理先輩は置いてきたんっすね」
いつまでもダンマリというわけにもいかないので、俺から話題を振った。
どうやら掛ける言葉を探していたらしく、問いは助け舟になったようだ。
「あいつは無理やり置いてきた」
大袈裟に躊躇いを見せた大雅先輩のその様子からすると、本当に無理やり置いてきたのだろう。
何をしたんだろう。多分、彼女が激怒するようなことなんだろうな。彼の渋った顔を見る限り。
鈴理先輩の怒りを差し置いても、俺とサシで話したかったらしい。
「お前が玲と婚約した理由、どうしても知りてぇんだよ」
ぶはっ! フライト兄弟が揃って飯を噴き出していた。
寝耳に水だと驚愕している二人に目を瞑り、「俺が彼女を選んだ」それじゃ理由になりませんか? とクエッション。



