「淳蔵さまはあんなことを言っていましたけど、俺は貴方が女で良かったっす。男じゃ手を結ぶなんて行為できませんもんね」
するとプリンセスが珍しく頬を紅潮させた。一本取った気分だ。
悔しかったのか彼女はカップを持った手で器用に額を弾いてくる。
「僕は何度でも言うぞ」
君の身分を縛っても心は縛らない。
相手の気持ちは自分で落とさないと意味がない。代替も要らない、と。
「君の代替を手にするくらいなら、僕は君を手放さない。生涯を懸けて」
とんでもない告白だ。
簡単に目ん玉が飛び出そうな告白をさらっとしてくるものだから、困った王子だこと。
「俺の立場ねぇっす」折角一本取ったのに、三本取られた気分だ。
不貞腐れてみせると、「少しは元気になったじゃないか」それでこそ豊福だと笑い、距離を詰めてくるカップに口をつけていた形の良い唇が言葉を紡いだ。
「心を縛るつもりはないけれど」
攻めないつもりもないから、と。
「隣にいてくれる機会を僕はのがさない。それだけは覚えておいて、豊福」
これは、なんと返せばいいのだろう。
彼女なりの俺に対する宣戦布告と、自らを片思いの立場だと宣言した姿を思い出し、スーッと目を細めた。そっと肩に頭を預ける。
頬を寄せてくる御堂先輩は「甘えていいよ」もっと甘えてきて。求めてきて。もっと、そう、もっと。
誰の目も気にさず、俺に真摯な気持ちを伝えてくれる王子。
―――…この人を守りたいと、ただただ心の奥底から思った。



