「俺、実親を殺しているんっすよ」
何か話題は無いか、検索した結果がこれだった。
同情なんてされたくないのに、この話題を出してしまうのは何故だろう?
相手が御堂先輩だからかもしれない。
知っていて欲しかったのかも、俺の過去を。
向こうの動きが止まった気がするけれど気にせず、「俺が五つの時でした」我が儘を言ったばかりか、身勝手な行動に出て親が事故死した。交通事故で死んでしまったのだと語る。
随分、端折った語りだったけれど、相手には十二分に伝わっただろう。
間を置いて、彼女が口を開く。
「ジジイはあんなことを言ったが君は君のために生きて、死んでくれ。
それが僕の願いだ。今のご両親を失いたくない気持ちは分かるけれど、君の人生は君のものなのだから。」
「……先輩」
「君が自分を大切にしてくれる。それこそが僕のためにもなるんだ。いいね、豊福。君は君のために生きるんだ」
有りの儘の君でいて。有りの儘の豊福でいて。有りの儘の笑顔を見せて。
とびっきりアマーイ台詞を囁かれ、俺はようやく笑声を漏らせるほどに回復した。
甘過ぎて胸焼けしそうっす。
どうして貴方はいつもそうなんっすか。
どうして俺にそこまで優しいんっすか。
なんでそんなにも俺の事を……守ってくれるんですか?
さっきだって悪役ぶっていた俺を貴方が助けてくれた。
「豊福、好きだよ」
照れ笑いで告白してくる王子系プリンセス。
何処までも恋愛に対して正当な姿勢を貫いている彼女の直向さが俺は好きだった。正真正銘の王子系プリンセスだと思う。
身分が縛られていても、彼女が思ってくれいるだけで俺は幸せだった。
御堂家のために人生を捧げなければいけない。
それは現実として浮上していることであり、俺も両親も承知している。その上で婚約したんだ。
契約書にサインした時の、父さんの寂しそうな顔はまさにそれを意味していた。
だけど大丈夫、俺はなんとかやっていける。
お金のことはどうしようもないけど、勉強への努力なら惜しまない。
今までやってきたんだ。
これからだって努力していける。なんだってやれる。両親のため、御堂家のため、そしてこの人ために。
いつも側にいて支えてくれている御堂先輩に、俺からできることはなんだろう?
考えた挙句、出した答えは空いた手で彼女の手を結ぶことだった。
傍から見ればスンバラシイ宇津木ワールドかもしれないけれど(だって彼女は男装少女!)、俺達はれっきとした男女カップル。ん? 女男カップル?
どっちでもいい。
今度は俺から彼女を支えられるよう手を結びたい。これは彼女に対する俺の気持ちだ。
視線を流してくる彼女に、「こうして手を繋ぐ行為は」貴方のためじゃなく俺のためです、一笑を零した。



