前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「それより豊福。この会合は学生が主として集まる。大丈夫そうか?」


省略された気遣いに、「そっちは大丈夫っす」なるようになると俺は笑った。

そう、財閥会合ってことは高い確率で元カノと会う可能性があるんだ。

会うことが怖くないって言ったら嘘になるけど、俺は過去を顧みることはできない。


これが俺の進む道なんだし。


……最近思うんだ。

俺、ちゃんと御堂先輩のことを見ようって。

こんなにも側にいてくれるんだ。
いつまでも引き摺っているわけにはいかない。

俺と鈴理先輩の始まりはお互いを知るための恋人からだった。

じゃあ、俺と御堂先輩の始まりは婚約から。

それから本当の意味でお互いを知る努力をしよう、そう思えるようになってきた。


少しずつだけど胸の疼きが緩和しているような気がするし。


いや、それとも麻痺し始めているのかな。

離れている時間が当たり前になったから、心に渦巻く感情が些少ならず麻痺しているのかも。

だってそうじゃないと、俺も、元カノも、御堂先輩もやっていられないじゃないか。

恋愛って花火みたいだよな。

付き合っている時は華々しく火花を散らすけど、終わるときは呆気なく終わる。儚いものだと思った。
 

「(こう思う俺って本当に女々しいな)……さてと、御堂先輩。いつまでセクハラしてるんっすか? 人のお腹を触ってからに!」

「僕は男の子と女の子、両方欲しいんだが。豊福」

「まるで俺が孕むような言い方っすけど、俺は男っすからね!」
 

「そんなこと分かっているぞ」でも触りたいものは触りたいのだと御堂先輩。

……鈴理先輩にしても、御堂先輩にしても、どーして人の体をお触りおさわりばっかしてくるのかな。

俺ってやっぱ女性に攻められる人生なのかも。それはそれで切ない。


俺もできたら攻めたいけど、
 

「そういえば豊福。僕は風の噂で知ったのだが、君は昼食を男友達と取っているそうだな。その男友達は大丈夫か? 変態じゃないか? 君を押し倒すようなことはっ…、確か名前はアジとエビだったような。
応援団があだ名しか記入していなかったから、あだ名しか分からないが。ちなみに二人合わせてフライト兄弟だとか」


はぁああ、この人を攻めるとか絶対無理だ。俺が食われちまう。

「そうそう。今日の体育の時間の話だが」

ジャージを着ている際は、首もとのファスナーを上げていた方がいいぞ。

首筋が見えると、誰かが欲情するかもしれない!


何処から入手したのか分からない事細かな情報に俺は溜息をついた。


攻め女の愛って時々重過ぎる。

と、頭痛を感じてしまう俺の悩みは果たして贅沢なのだろうか?