「とてもお勉強熱心な方だと聞いておりますので、それなりの準備はさせて頂きました。ご自由にお使い下さい。何か不自由がありましたら、我々に言って下さいね」
「え、あ、はい。あ、ありがとうございます」
ぺこっと頭を下げる俺に綻んだ蘭子さんは簡単に屋敷の説明をした後、部屋を退室して行った。
障子が閉められると俺は改めて部屋を見渡し、観察。立派過ぎる部屋が俺を見つめ返していた。
タタミ何畳分の広さなんだろう。
疑問を抱きながら、取り敢えず俺は机に向かう。
そこに持ってきた教科書類や大事な写真を飾ってみるけど、なーんか落ち着かない。
「パソコンねぇ」
チラッとノートパソコンを一瞥した俺は、機械音痴なんだけどっと肩を落とす。でも財閥界じゃパソコンは使えて当たり前なんだろうな。
ある程度の荷物を片付けてしまうと、俺は部屋をうーろうろ。
布団を触ってみたり、テレビを点けてみたり、冷蔵庫を開けてみたり。
「あ。イチゴミルクオレ」
冷蔵庫を開けた俺は声を上げる。
わぁ、俺の大好きなメーカーのイチゴミルクオレが冷蔵庫に詰まってる。
ついつい喜んでしまった、後、俺はハタッと気付いてしまう。
なんで俺の好物が此処に入っているんだ。
アクエリや緑茶なんかも入っているけど、半分は俺の好物だよこれ。
御堂先輩からの情報か?
いや彼女にこれを好きだって言ったことはなかったような。
……、そういやストーキングまがいなことしていたな、あの人。
「うん。此処は何も思わず、素直に喜んでおこう。後でお礼言っておかなきゃ」
パタンと冷蔵庫を閉めて俺は場所を移動した。
まずは着替えなきゃだな。
えーっとジャージでいいのかな。俺の持っている家着って中学のジャージなんだけど。



