前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「先輩。どさくさに紛れて人の服に手を突っ込まないで下さい」


ロビーで居た堪れない気持ちになっている俺がいるんですけど、片眉根を微動させて引き攣り笑いを浮かべる。
 
「おーっと」なんで僕の手が豊福のシャツの中にあるんだろう。おかしいな。


うそぶくプリンセスに俺は口角を痙攣させる。


「しかも先輩」


どさくさに紛れて膝に俺を乗せないようとしないで下さい!

こんなことされたら周囲の目が気になるでしょ!

ただでさえ今の貴方様は女の子っすよ!

めーっちゃ可愛い女の子になっているのに、俺を膝に乗せてみんしゃい。

なんって目に毒な図っ!
ワンピース姿の女性の膝の上にのる俺とかアンバランスにも程があるだろ!
 

俺の指摘に御堂先輩が硬直する。

突然どうしたのかなぁって思って相手を見やれば、彼女は見る見る顔を赤らめて「わ。ワンピース姿のことは忘れてくれ!」女装をしていたことを忘れていたと御堂先輩が発狂した。


いや、女装じゃなくてそれが本来の姿でしょーよ。

アータは立派な女性っす!


ってっ、ゲッ、何してるんっすか!


「なんでボタンを外してるんっすか! ちょ、やめてくださいよ!」

「豊福と僕の背丈は同じくらいだから、君の制服を着れるような気がしたんだ。さあ、その制服を僕に寄越すんだ豊福!」

「はいぃい?! じゃあ俺は下着で帰れと?!」

「そんなことはしない。僕は紳士だぞ。僕の着ていたワンピースを貸すから、安心して帰れるぞ」


なーるほど、つまり先輩は男装ができるし、俺は女装ができると。

あっはっはっは。

なんて素晴らしくもえげつない思い付きだど阿呆!

紳士なんて一ミリ単位とも思わない!

俺がワンピースを着るとか論外じゃんかっ、女装とかマジ街の連中に笑われて来いって言われているもんっす!


「さあ豊福!」「嫌っす!」「ぬーげ!」「いやーっす!」「僕の言うことが聞けないのかい?」「聞けるわけないっす! これは明日も学校で着ていくっす!」「明日の朝には返すから!」「そういう問題じゃないっす!」