一子さんの感動っぷりに御堂先輩が身を小さくして顔を紅潮した。
「豊福は別枠なのです」とボソボソ呟いている。
「私も妻と同意見なのですよ」
娘の様子を流し目にした源二さんが柔和に綻んだ。
「庶民出身など、実質どうとでもなる問題なのです。彼女問題と比較したら、爪先ほどの問題だと私は思っています。
二度言いますが、彼女を作られる問題と比較したら髪の毛先ほどの問題かと」
強調してきたよ、源二さん。
すっげぇ心配していたんだろうな。
御堂先輩が彼女を作ってこないかどうかを。
まず外貌が王子だしな。
カッコイイ女性って他の女性にとって憧れの的だし、御堂先輩も女性を口説く傾向があるから親としては懸念を抱いてしょうがないんだろう。
「しかし」
父さん眉尻を下げた。
念頭からこの見合いは不成立だと考えている父さんにとって、向こうの言葉はイマイチ心に届かないんだろう。
借金もネックになっているだろうし、なにより家族をバラバラにしたくないって気持ちがあるんだと思う。
と、廊下に出ていた秘書の人がスマートフォンを片手に源二さんを呼んだ。
そのため一旦、源二さんが廊下に出て退室。
程なくして戻って来た源二さんは、父の意図が分かりましたと苦笑を零した。
視線を源二さんに定めると、前触れもなしに彼が告げる。
「ご子息を我々に預けて下さりませんか?」と。
血相を変えたのは母さんだった。
「借金は踏み倒しません」
だから息子だけはっ。おろおろする母さんに、「ご安心ください」とって食おうというわけじゃありませんよ、と源二さんが肩を竦める。
「ご子息のことは常々玲から聞いております。また、大変失礼ながらあなた方の血縁関係も調べさせて頂きました。実の親子でないことも承知しております」
「父さま!」相手に対して失礼なものの言い草ではないですか、御堂先輩が眉をつり上げて厳しく咎める。
悪びれた様子もなく、源二さんは続ける。
学歴や愛娘の男嫌いの反応を見た結果、ご子息は此方にとってプラスになる人材。
父も借金を踏み倒さない、強い繋がりを求めている。
ならばこの場で強い関係を築き上げておきたいのだと源二さん。
言いたいことが遠まわしだから、ちょっち俺達には伝わってこない。
つまり、どういうこと?



