前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



はてさて落ち着きを取り戻した豊福家は、場所を間違えていないことを確認して相手家族にも場所を間違えていないか確認。
 

お互いの事情を話して個室まで確認したんだけど、事情以外は物の見事に日程も場所も時間も合致している。

「おかしいな」

父さんは此処で間違いないんだけど、何故お見合いという流れになっているのだろうか、首を傾げている。

御堂先輩のお父さん、源二さんも俺達が見合い相手じゃないことをようやく察して秘書に確認を取っていた。

けどやっぱり場所は間違っていないという。

ただ見合い相手のことは源二のお父さんが決めたそうだから、向こうのご両親は見合い相手の詳細を知らないとか。

親同士がおかしいと首を傾げている中、当事者達は頬を紅潮させて俯いていた。

俺は見慣れない御堂先輩の姿に緊張しているし、御堂先輩は女性らしい女性の格好に羞恥心を噛み締めている。

傍から見ればそりゃあ初々しいと思うよ、俺達。


チラッと御堂先輩を見やれば、「見ないでくれ」恥ずかしいからと御堂先輩がボソボソっと小声で頼んでくる。

そうは言っても俺の真正面に座っているんっすよ。見えちゃうんですけど。


「自信持っていいと思うっすよ。先輩、綺麗……ですし」

「僕は口説く専門なんだ。口説かれるとどうすればいいか分からなくなるだろ」
 

べつに口説いているわけじゃないんだけど。
 
赤面する俺に、御堂先輩も学ランになりたいと赤面してそわそわ。そわそわ。そわそわ。

よっぽどその光景が微笑ましかったのか御堂先輩のお母さん、一子さんが「お相手は彼だと思いますよ」と切り出す。

「私もそうだと思う」源二さんが俺達を交互に見やって肯定の返事をした。


「いやしかし」


空がご令嬢のお見合い相手だとは思えないんですが…、父さんのご尤もな意見を出す。


「お恥ずかしいお話。此方は理不尽な借金の肩代わりをしてくれた方と、食事をする予定でした。息子の空を預けて欲しいと条件を付けられまして」
 

しかし簡単には大切な息子を預けることができなくて。

口ごもる父さんの言葉に過剰反応したのは御堂先輩だった。