「あ、あぁあああの玲が男性の前で照れていますよ。貴方様!」
御堂先輩が嘆いている一方で御堂先輩のお母さんが手を叩いて興奮している。
うんうんっと綻んでいる御堂先輩のお父さんは微笑ましそうに頬を崩した。
「しかも今、豊福と言ったな。もしかして彼が噂の……、そうか。そうだったのか。これはめでたい。いやぁめでたい」
御堂先輩のご両親は感動に浸っているし、どーなっているんだ。これ。
完全に置いてきぼりになっている豊福家は始終口を開けて呆けるしかない。
おかしいぞ。
これは借金を話し合うための食事会だったんじゃないのか。
何故御堂先家が現れたり、御堂先輩が女性らしい姿で現れたりしているのだろうか。御堂先輩はまだ障子の裏から出てこないし。
キャッキャッと喜んでいる御堂先輩のお母さんは、「素敵なお見合いになりそうですね」と言葉を付け足した。
………、え゛、お見合い? だ、誰と誰の?!
も、も、もしかして俺と御堂先輩っ?!
「そ、そんな馬鹿な! まだ俺、16なのにおぉおおお見合いィイ?! 父さん母さん、どうなってるの!」
戦う姿勢にいた俺はすっかりうろたえてしまった。
同じ姿勢にいた母さんも、
「おぉおおお見合いですって裕作さん」
場所を間違えてしまったんじゃないか、とんでもない場所に居るんじゃないかとあたふた。
大慌てで父さんは鞄から書類を取り出して場所を確認している。
片や幸せそうに微笑んでいる家族、片やレモンを丸呑みしたような面持ちで焦っている家族。
誰がどう見てもこの図は天国と地獄だっただろう。



