前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



俺はギョッと驚いてしまう。
 
目前に現れた女性は見覚えがある、というか見知った人物だった。


な、な、な、なんで貴方様が此処にいるんっすか。


毎度の事ながら神出鬼没というか、なんというか、いつもとゼンッゼン雰囲気が違うというか。

まず男装じゃない。

え、男装していないよこの人。

可愛らしいフリルのワンピースを身に纏った御堂先輩が現れ、俺は声を失った。

いつも結っている髪が解かれていることがまた可愛いのなんのって美人だ。女の子だ。女の子な御堂先輩が俺の前に現れたんだけど。


ふっきげんになっている御堂先輩をあぜーんと見せる俺に対し、愛想も畜生もない態度で部屋に入って来た御堂先輩は俺の姿に気付き硬直。


「は?」間の抜けた声を出し俺を凝視。

んでもって慌てたように満遍なく俺を見やった後、

「と。豊福!」

君がどうして此処にっ、頓狂な声を上げた。
 
それはこっちの台詞なんですけど……、いやぁ、なんか新鮮っす。御堂先輩のスカート姿。

宝塚の人みたいに男装していると男っぽいけど、こうしてワンピースを着ていると女の子なんですね。

なんか男装に慣れているせいか、目のやり場に困る。困っちゃうんだけど。


視線をちょっと落とした後、「可愛いっすね」俺はありきたりな褒め言葉を相手に贈った。

これ以外、言葉が思いつかなかったんだ。
 

するとどうだろう。


御堂先輩が尋常になく頬を赤く染め始めた。


「と、と、豊福がいるなんてっ」


しかもこんな姿を見られてしまうなんてっ、制服ならまだしもっ、まさかこんなっ、ボンッと頭から湯気を出した御堂先輩が慌てて障子裏に隠れてしまう。
 
「父さま。母さま。僕は着替えます!」

でないと彼と顔向けできません、と御堂先輩。

めちゃくちゃ恥ずかしかったらしく、「御堂先輩」俺が声を掛けると、「忘れてくれ!」僕はもう羞恥で死にそうだと大袈裟に嘆いた。


うああぁあ、そういう恥らう姿まで女の子なんだけど。

王子系プリンセスの姿はいずこ?