だって、
「フライト兄弟って可愛いよな。俺、二人になら身を捧げても良いって思い始めたよ」
って、言ったら、「え゛」「そ、空?」二人がドン引きしていたもん。
こんなこともあった。
たまたま廊下ではち合わせた婚約カッポウを見た俺は、おもむろに二人を観察すると、「大雅先輩!」ビシッと指差して声音を張った。
「な、なんだよ」
気迫に押されている大雅先輩に対して俺は喧嘩腰で言い放った。
「それで攻め女の彼氏が務まると思うんっすか! もっと押されて下さい! 押されてなんぼっ、それが受け男っすよ! なあんで押されないんですか!
キィイィイイッ、それとも元カレに対する嫌味っすか!
俺はお前のように受け男にならないんだぜ。カッコイイ男になってやるんだぜって俺に喧嘩を売ってるんっすか!」
だったらもーっと腹が立ちますっ! さっさとヤられたらいいんっす!
突拍子もなく癇癪を起す俺にぽかーんの大雅先輩と鈴理先輩。
「こら空!」「何喧嘩売ってるの!」アジくんとエビくんに止められると、
「世の中の男なんて皆受け男になればいいんだぁああ!」
カッコイイ男なんて滅べばいいと半狂乱になってビィビィ喚いた。
完全に八つ当たりだ。
「どーせ俺はカッコ良くなかったっす! 女にガオーッとか無理な男っす! いつだって食べられそうな男でしたっすっ…、でも覚えてなさいっす! 受け男を舐めていると痛い目見るっすよ!
大雅先輩なんてシャングリラにでも行ってハーレムでも築き上げればいいんっす!
あ゛、だけどハーレムしやがったら鈴理先輩が泣くっす! んなのことしたら俺がぶっ飛ばすっすよ! マジっすよ!」
「そーら!」
「君。変過ぎるって!」
喚く俺を引き摺るフライト兄弟を無視して、「覚えてろっす!」ギャアギャア騒いで俺は元カノの婚約者に喧嘩を売っていた。
「なんだったんだ」
唖然とする大雅先輩。
「欲求不満、か?」
さすがの鈴理先輩も俺の言動についていけなかったみたいで、始終目を点にしていたことは蛇足にしておく。



