前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



結局、その日はそれで終わったんだけど、あくる日よくよく話を聞いた俺は今後のスケジュールを把握することができた。

なんでも俺は両親と一緒に指定されたおぼろ花亭って料亭に赴かなければいけないらしい。

肩代わりしてくれた人と事細かに今後のことを話し合うためだとか。

料亭ってことはそこでお食事でもしながら、借金生活のことを話し合うってことで。


豊福家にとって最後の晩餐ならぬ地獄の晩餐になりそうだ。

食事会は早い方が良いだろうと三日後に決められた。


料亭のご馳走を食べられるかもしれないのに、ちっとも嬉しくない食事会が決まってしまい翌日の俺はすこぶる落ち込んだ。


狼狽している両親の前じゃ見せられなかったけど、冷静に考えてみれば俺の将来がかかった問題だよなこれ。

人質にされたら俺、どうなってしまうんだろう。

バイトはこれからも続けていけるんだろうか。

それともバイトを増やすべきなんだろうか。


はたまた学校を辞めなければいけないのか。


苦労して私立エレガンス学院に入学した過程があるからこそ、ちゃんと卒業したい気持ちが強かったけど借金の額には成す術もない。


向こうが辞めて働けと命じれば俺は辞めるしか選択肢にないのだ。
 

真面目に中退を視野に考えていた俺は、やる気もくそもなくなって学校では始終上の空になっていた。
 

期末テストの順位発表も廊下に張り出されたからフライト兄弟とそれを見に行ったんだけど、俺は入学以来はじめて学年二位という好成績をたたき出したにも関わらず素直に喜べず。

ただただぼんやりと他人事のようにそれを眺めていた。

二人に凄いじゃないかと褒められても上の空。


どうしたのだと声を掛けられて、ようやく我に返った俺は曖昧に笑みを返すことができたんだけど、それ以上のことは何も言えなかった。

借金のことは誰にも相談できなかったし、打ち明けられる悩みじゃなかったんだ。


昼休みもひとりになりたくて弁当を片手に中庭に移動した。

木陰で喉の通らない弁当を半分だけ平らげると、それに蓋をしてごろ寝。いつまでもそこでそよ風を感じていた。

午後の授業なんて居眠りしちまったよ。

殆ど寝たこと無かったのに。


まさしく無気力人間と化していた俺に、当然フライト兄弟は様子がおかしいって気付いて声を掛けてくれるんだけど、それさえ俺には遠いことに思えた。 


学校を中退したらフライト兄弟と一緒にいられる時間もなくなるな。

時々は会って遊んでくれるかな、とかぐるぐる考えて思考をお花畑にしていた。

途中から挙動がおかしかったかもしれない。