「要は踏み倒さないって証明をすればいいんでしょ?
だったら俺、向こうに行ってそれを証明してみせるよ。
父さん、母さんには感謝しているんだ。
実親を亡くした俺を引き取って、本当の子供のように可愛がってくれて。凄く良くしてもらって」
なにより目前の叔父叔母もまた、俺の両親なんだ。大事な両親で、俺は二人の息子なんだ。
二人が苦悩しているなら、俺も一緒にその苦悩を背負いたい。
人質になることが俺のできることなら、俺はその条件に従いたい。
そう言うと、だから空に言いたくなかったんだと父さんがはじめて声音を震わせた。
俺の言動を見越していたらしいんだ。息子なら絶対にそう言ってくる、想像が付いていたからこそ言いたくなかった。
父さんはちゃぶ台に肘を置いて項垂れる。
息子にこんな苦労を背負わせてしまうなんて……、親失格だと父さんが苦言した。
そんなこと言わないでくれよ、父さん。
俺、二人の息子で本当に良かったと思っているんだ。
失格なんて悲しいこと言わないでくれよ。
「これからもさ、息子でいさせてよ。借金とか、平気だからっ…、父さん、母さんの息子でいさせてよ」
伝染したかのように俺も声音を震わせた。
この直後、豊福家は嵐嵐大嵐で、そりゃあもう借金への悔し涙やら。
理不尽な現実への憤りやら。
家族がばらばらになるかもしれない恐怖やら。
それでも家族が大切な気持ちやら。
そういった感情が渦巻いて居間を大嵐とした。
父さんも母さんも俺も顔がぐっちゃぐちゃになったよ、まじで。



