「玲は女に優しく、男に厳しい性格だから、俺には超厳しいんだって。百合子みたいな女には激甘でよぉ。
一応、腐れ縁だから喋ってはくれるんだけどな。悪い奴じゃねえし」
  

やんわりフォローしているところからして、大雅先輩自身嫌ってはいないようだ。


取り敢えず友達として位置付いているみたいだし。
 
「あいつのことだ」鈴理先輩は吐息交じりに、俺を一瞥。

「へ?」間の抜けた声を出す俺に、「玲に何を言われても」気にしないでくれ、と先手の慰めを施してくれる。


「玲はあたしと良くも悪くも好敵手なんだ。幼少から、些少のことでも競り合ってきた。あたしの噂はもう耳にしているだろうから、あんたに興味を持っていてもおかしくないだろう。

……その、なんだ。
大雅も言ったが男にはやたら厳しいことを言う奴でな。痛烈な言葉を浴びせてくる可能性が大きいんだ。

悪い奴ではないんだがな、性格上、どうしても…、だから先に言っておく。右から左に聞き流してくれ」


例えば貧乏だとか、容姿身形貧相とか、ご両親のことを弄くってくるかもしれない。

だがそれもなるべくは聞き流して欲しいと、鈴理先輩。

うーん、両親のことだけはおヤクソクできませんよ先輩。


だって俺、超ファザコンマザコンなんっすよ?

両親至上主義の俺が馬鹿の一言でも言われたら、カッチーンのブッチーンだと。努力はしますけど。
 

「へえ、鈴理に好敵手ね。そりゃ会うのが楽しみだわ。どんな子? 可愛い?」


川島先輩の質問に、大雅先輩が返答した。


「あいつはカッケー分類だ。男装が趣味だからな。髪はロングだけど、イケメンオーラムンムンだ。一人称も僕だしな」
 

典型的な男装趣味に走ってるんだな。

んー、なんだか楽しみ半分、不安半分になってきたぞ。何事もなくパーティーを楽しめればいいんだけど。


先輩の好敵手、か。


話を聞くだけじゃ人物像が思い浮かばないや。




どんな人なんだろうな、御堂 玲先輩って。



 
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