「またそれ?」
何本それを奢ったんだと思っているんだとエビくんは眼鏡を押して、俺に歩んで来た。
「空は安上がりでいいよな」
あれって一本80円だぜ、遅れてアジくんが俺と肩を並べてくる。
んでもって俺とエビくんの首に腕を回し、自販機はまだ稼動している筈だから今から飲みに行くぞと元気よく前進。
「うっしゃ。今日は俺が空とエビに奢ってやるよ。勉強教えてもらっているしな。奢るんだから、それなりの指導してくれよ?」
「君ね。僕等の教えを80円で済まそうなんて、それこそ安い考えだって。普通に千円単位は超えているよ。
君は物覚えが良いんけど、その分、忘れるのも早いんだから。本多ってトリアタマだろ」
「んだと笹野。エビのくせにー!」
「じ、自分はアジだろっ。アイテテテ!」
「アイダダッ! なんで俺まで締められるのっ、アジくん!」
悲鳴を上げる俺達にアジくんが笑声を漏らした。喧しい三つの声は静まり返っている廊下に響き渡る。
締められている苦しさに顔を顰めながらも、俺はアジくんとエビくんの気持ちに感謝した。
二人の気持ちは随分俺を支えてくれているんだ。
こういう友達はいつまでも大事にしていきたいと思う。いつまでも、さ。
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