「お前等」ジーンと感動しているアジくんに苦笑して、俺は英語の参考書が置いてあるであろうエリアに向かう。
沢山の本が棚にひしめき合っている中、俺は比較的新しい参考書を見つけ出そうと思った。
古い物が使えないとは思わないけど、本によっては文法の規則性が変わっている可能性がある。
野沢のテスト形式を脳内で思い出しながら俺は背表紙を一つ一つ指でなぞった。
目星のつけた本は軽く本を引いて、目印にしておく。
ある程度、タイトルを見終わったら本を手にとって中身を確認。アジくんでも理解できるような参考書を探していく。
「こんなもんか」
手頃な参考書を二冊手に持ち、俺は踵返す。
これならアジくんも分かりやすいんじゃないかな。アジくん、根気を持って読んでくれるといいんだけど。
並列している本棚の間をすり抜けていると、俺の視界に向こう側テーブルの光景が映った。
足を止めて首を捻る。
テスト期間に入ったためか、利用者数が増えた図書室の一角で俺は幻覚を見てしまう。
テーブルの向こうに元カノが着席している姿を。
彼女も此処で勉強しているのか、ルーズリーフと教科書、そして参考書を交互に見やってペンを走らせていた。
目を細めて見つめていたけど、俺は振り切るように歩みを再開する。
無意識の内に目で元カノの姿を追う女々しい俺がいたけど、今は勉強に集中しないと…、そう言い聞かせてフライト兄弟の下に戻った。
胸が痛く疼いたけどそれには目を伏せる。
勉強をそぞろにはできない。
今は勉強に集中だ。



