前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「……、本多ってどうやってこの学院に合格したんだろうね。入学試験の英語はかなり難易度が高かったと思うんだけど」


まったくもって謎いよな。
俺もどうしてアジくんが合格したのか不思議でならないや。

こういっちゃなんだけどアジくんってあんまり勉強が出来ない。

男前でカッコ良くて憧れの的ではあるんだけど、勉強面だけはてんで駄目。


英語だけじゃなく数学や古典なんかも全滅。得意な教科は副教科だって胸張っていたもん。

一般入試で入ったって言っていたからそれなりに学力はある方なんだけど、いつも追試組だもんな。アジくん、基本的に勉強が嫌いなんだと思う。

「しょーがない」

エビくんが眼鏡を押すと立ち上がって、そーっと身を乗り出し、うたた寝をしているアジくんの耳元で囁いた。「君は留年だ」と。


次の瞬間、勢いよくアジくんが飛び起きた。

目を白黒させているアジくんはヤな言葉を聞いた気がした、と胸に手を当ててキョドっている。

これでよしとエビくんは着席し、「留年したいの?」僕等を先輩と呼びたいなら自由に寝ていていいけど、と腕を組む。


「ああ、その時はちゃんと先輩として敬ってもらうから。当然僕等のことはさん付けね」
 

ふんぞり返るエビくんはにっこりと微笑んで眼鏡のレンズを光らせた。

絶句しているアジくんの側で身を小さくしてしまう俺は、逃げるように教科書で顔を隠した。

なんか黒い、エビくんが黒いんだけど。眼鏡のせいかな?
 

脅しが効いたのか、アジくんが真面目に勉強を始める。


でもやーっぱり分からないみたいで、「分詞構文わかんね」と頭部を掻いていた。

一時は自分の勉強に専念していたけど、アジくんの出来の悪さに見かねた俺は腰を上げる。

「何処に行くの?」

小声で声を掛けてくるエビくんにアジくんでも分かりそうな参考書を探してくると告げた。


この図書室は大きいし種類も豊富だから、一冊くらい分かりやすい英語の参考書が置いてあるだろう。


「アジくんには留年して欲しくないしさ。エビくんは文法を見てあげてて」

「はいはい。僕もフライト兄弟の片割れがいないと、なーんか物足りなくなるだろうしね。仕方がないから勉強を見てあげるよ」