「持ってきたぞ空。まず何から調べればいいんだ?」
「そうだね。アジくんなりに訳したって野沢に分かれば問題ないから、まずアジくんが分からない単語を…、最初のフレーズに出てくる“demonstration”とかは?」
「よーし分かった。早速…っ、ゲッ、電池切れた!」
起動した途端、プッツンと画面が真っ白になるそれ。
絶句するアジくんに何も言わず俺は自分の分厚い紙辞書を差し出す。
「笹野っ!」
紙辞書は検索に時間が掛かるって分かっているのか、アジくんがエビくんに助けを求めた。
すると彼は自分のマイ辞書を見せてニッコリ。
見事に俺と同じ紙辞書である。
こうしてアジくんはシクシクと泣きながら紙辞書で単語を検索することに。
昼休み中に終わるのかな、これ…、とか可哀想なくらい嘆いていたから、俺のノートを見せてあげたよ(アジくん「空の字っ、小さ過ぎて読みづらいんだけど!」)。
アジくんにはいつもお世話になっているから。
俺のノートと見比べながら自分なりに訳していけば、アジくんも野沢にOKを貰えるだろう。
念のために俺はエビくんのノートも貸してもらった。
エビくんの英語の成績の良さは俺も知っているから。
さて気になる結果なんだけど、どうにかアジくんは勝負の英語の時間をパスすることができた。
まあ、野沢はアジくんの英語の出来の悪さや、俺、エビくんと仲が良いのを知っているから、俺達に手伝ってもらったんだなって容易に見抜いていたようだ。
「テストは手伝ってもらえないぞ」って耳打ちされていた。
英語への危機を感じたのか、アジくんがテスト勉強会をしようと提案してきたのは授業終わり後のこと。
異論は無かったから俺は放課後、フライト兄弟と図書室で勉強会をしたんだけど、来て早々俺とエビくんはアジくんの集中力の無さに呆気取られてしまった。
だって教科書を開いて、今から三十分を目処に英文法をやろうってシャーペンを走らせていたんだけど、その五分後。
アジくんは現実逃避の如く、うとうとと夢路へ旅立ってしまった。
まだ五分なのに主催者がいっきなり寝ちゃったよ!
取り敢えずエビくんが起こすんだけど、アジくんは教科書を眺めてまたうとうと。駄目だこりゃ。



