「あっれー、豊福。あんたも立食パーティーに行くの? 良かった、うちも行くんだ」

 

会話に割り込んできたのは川島先輩。
 
当たり前のように俺の隣を陣取る彼女は、

「イェーイ。一般人仲間」

ハイタッチを求めてくる。
反射的にハイタッチする俺は川島先輩も行くのかと質問。

「もち」百合子に誘われたから行くんだと胸を張る川島先輩は、向かい側を親指でちょいちょいと指す。


視線を流せば、カッチンコッチンに固まっている大雅先輩の隣に腰掛ける宇津木先輩の姿。にこっと微笑まれる。


で、大雅先輩は…、嗚呼、ぎこちなく食事再開してる。


このロールミート系男子め。鈴理先輩や俺には偉そうな口ばっかり利くのに、俺様はどーしたんっすか?

あーあーあー、箸を持つ手が震えちゃって。
ほんっと本命の前ではなんちゃって俺様なんっすね、大雅先輩って。

呆れている他方で川島先輩が話を続ける。  
  

「豊福、超チャンスじゃない? 財閥のメシ食えるなんて。うち、絶対包んでもらおうと思ってるんだ」


ウキウキ声で川島先輩がそんなことを言うもんだから、俺、超目を輝かせちまった。
  

「川島先輩も…、包んでもらおうと」

「あったりまえでしょ。美味いものは包んでもらって家で味わう。庶民の常識っしょ。んで舌に馴染む安く熱い茶と一緒に土産を食べる。最高じゃない?」

「ですよねぇ! わっかります! うっわぁあ、俺、仲間ができて凄く心強くなりました!」


「だしょ?」笑声を漏らす川島先輩ともう一度ハイタッチ。

向かい側に座っているご令息ご令嬢は顔を見合わせて、

「なんで安いお茶なのでしょう?」

うんっと首を傾げる宇津木先輩、

「意味不明だぜ」

肩を竦める大雅先輩、

「最高な食べ方なのか?」

高い茶ではダメなのかと鈴理先輩。


三者三様の反応に川島先輩は「これだから坊ちゃん嬢ちゃんは」嫌味ったらしく首を振って、あんた達じゃ一生分かんないって、と俺の首に腕を絡めてきた。