そんな人に俺は娘さんと付き合いですと押し通すことはできなかった。
俺には彼女を幸せにするだけの力なんてなかったし、これから財閥を背負っていく先輩を支える力があるとも思えなかった。
好きだけじゃこの世界は成り立たないんだ。
少なくとも俺達の関係は好きだけじゃ成り立たない。
周囲に迷惑が掛かる。
決して英也さんもお遊びで鈴理先輩と大雅先輩を許婚にしたわけじゃない。
ある程度、娘が幸せになれる確信を抱いて二階堂家と許婚を結んだんだ。
俺に入る余地なんて残されていなかった。
「これで良かったんだよな」
かつて実親の命を奪ってしまった俺だから、今度は将来を約束された二人を見守ると決めた。
例え、鈴理先輩が俺を嫌おうと、それこそ失望しようと俺は貴方を支える友人であろう。
気持ちを改めると、俺は会場に帰らず会談に足先を向けた。
さっき英也さんに最後まで見届けるって言ったけど、それはちとばかり無理みたいだ。
だって喧嘩しちゃったんだ。
俺がいると不味いだろ? 気まずいだろ? 居た堪れないだろ?
……帰ろう。
親へのお土産は諦めよう。
「鈴理先輩。大雅先輩とお幸せに」



