「俺も呼ばれたんっす。正式なお客として婚約式に。大丈夫っす、俺はちゃんとお祝いする気持ちで来たんっすから。
また後でお話しましょう。もう時間でしょう?」
頬を崩して、空は受付テーブルに向かった。
「おいおい」
最悪の展開じゃねえかよ、大雅がこめかみに手を添えて呻いた。
鈴理は完全に言葉を失っている様子である。
百合子は鈴理を気遣い、声を掛けて取り敢えず中に入るよう促した。
彼のことは自分達が受け持つから、そう告げて。
内心ではどうしてこんなことに、と悲しみにくれるしかなかった。
誰かの差し金なのだろう。
でなければ、庶民出身の空が呼ばれるわけがない。
(ということは、鈴理さんのご両親が…、それにしてもこれはあまりにも残酷ですわ)
荒れそうな婚約式になりそうだと、百合子は思わずにいられなかった。
「豊福―…」
傍らで玲が片恋相手に目を細める。
彼女の心情は誰にも分からなかった。



