どうして俺を好いてくれる女性って、こうも押しが強いんだろうな。


二人とも悪い人じゃないんだけどさ。


攻め方に問題があるというか、俺って男だったよな? って疑問に思う行動を沢山してくれるというか、御堂先輩のさっきの攻め方は悪夢だったというか。

深い溜息をついて俺はアパートに爪先を向けた。


「帰ったらちょっと寝よう。ほんと疲れた」
 

今日は沢山のことがあり過ぎたしな。

……鈴理先輩と大雅先輩のことが気掛かりだけど、今の俺にできることはなさそうだし。


月曜日に話題を吹っ掛けてみてもいいけど、ちょっと様子を見ないと聞くことさえ気が引ける。


御堂先輩が元気付けてくれなかったら、もっとヘコんでいたんだろうな。あの人には感謝しないと。


俺は不安を振り切って今度こそアパートに向かった。少し休んだから、夕飯を作らなきゃ。


今日はジャガイモが残っていたから、肉じゃがでも作ろう。
 
 




 
「―――…もういい、出せ」

 

御堂先輩達が乗っていた黒光りしている高級車とは対照的な真っ白い軽自動車が、息を潜めて此方の様子を見ていたことに誰も気付かなかった。

アパートに戻る俺も、車で自宅に向かっている御堂先輩も。


⇒08