「連れて帰ってどーするつもりっすか! 俺を連れて帰っても家事くらいしかできませんよ!」
「豊福。僕はな男の子と女の子、両方欲しいんだ」
「……、いやいやいや! それを俺に相談されましても! 俺にはどうしようもできないというかっ、いや分かるけど分かっちゃいけないといいますか!」
うっわぁああ、お外で女性に担がれている情けない草食男が此処にっ!
傍から見たら男同士、宇津木ワールドが展開されているような気もするけれど、彼女は男装していても立派に女性をしているわけで。
俺はそんな彼女に担がれているド阿呆男っ…、な、情けない! この上なく情けない!
「御堂先輩っ!」
お願いだから下ろしてくださいっ、相手に何度も頼み倒す。
暴れて逃げ出したいけど相手が女性だから強くは暴れられない。
怪我させたくないし、向こうも習い事を習っているせいか手腕が強いしっ、ひっ…、な、なんかどさくさにまぎれて直に背中を撫でられたような。
ぎゃぁああ!
センッパイっ、やっぱ触ってる!
ちょ、野郎の肌なんて触っても嬉しくないでしょ!
俺は貴方の嫌いな男っすよ!
悲鳴を上げまくっている俺なんぞお構いなしに御堂先輩は、マンション陰を出て大通りに向かう。
器用なことに片手でスマホを取り出すと親指で画面をスライドさせ、「迎えを頼む」誰かに連絡を入れていた。
本当にお持ち帰りされるんじゃないかと怖じる俺は、人目も気にしていた。
だって日が傾き始めた道端で。
大事なことだから二度言うけど日がまだある道端で女性に担がれているんだぞ。
そりゃあもう、人目を気にしない奴はノーテンキにも程がある。
……妙に目立っているし。
世間の目は冷たいっすね。
冷ややかな眼を四方八方から感じるっす。
なんか誤解を含んだ視線も感じるような。
それは気にしないよう努めるけど。
シクシクと涙を流していると、御堂先輩が某7が付くコンビニの敷地に入った。まさかこの態勢でコンビニにっ…、そんな非常識な!



