御堂先輩…。
俺は目を細め、嫌悪感を滲ませている語り部を見つめた。
物心をついた時から性別を否定される、それが彼女にとってどれほどの苦痛だったのか、俺には想像もつかない。
性別拒否なんてなかったら、きっと御堂先輩は男を嫌うこともなかった。
それこそ普通の女の子として生活していたかもしれない。
べつに今の御堂先輩を否定するわけじゃない。
でも御堂先輩の中で芽生えてしまった男嫌いの根源に、俺は胸を痛める他なかった。
語り部になっていた俺はシェイクで喉を潤した後、
「御堂先輩ってカッコイイっすよ」
それこそ男の俺から見てイケた女性だと強く思う。
一方で女性らしくスカートを履いたら、きっと美人さんなんでしょうね、俺は目尻を下げた。
「カッコ良くも美人にもなれる。羨ましいっす。御堂先輩は男の人にも負けていないイケた人っす。
でも折角女として生まれたんっすから、女の子だけが楽しめるお洒落もしてみていいと思うっすよ。それに俺は男よりも断然、女の人の方が強いと思います」
だって男ではできない、子を産むことができるんっすから。
精神的にもきっと女は男より強い。じゃないと育児なんてできないと思う。
ああ、でも一つだけ、俺は譲れない持論があります。
女の人は傷を作っちゃいけないってことっす。
男に守られなきゃいけない存在なんだと思うんっすよ。
これは蔑んでいるわけじゃなく、さっきも言ったように女性は子を産むことができます。
だからこそ体を大切にして欲しいって。
「俺、思うんっす。御堂先輩の男らしい面同様、女らしい面も受け入れていいんじゃないかって」
先輩自身がなんとなく、御自身の女性の面を否定しているように思えました。
勿体無いっすよ。
両方楽しめるなら、両方楽しんだ方がお得じゃないっすか。
おじいさんが何言ってるか知りませんけど、俺は今の御堂先輩でいいと思いますよ。
それこそ女性でいいと思うっす。
カッコイイプリンセスでいいじゃないっすか。
こういう言い方すると失礼でしょうけど、どうせおじいさんは長くないんっす。
御堂先輩の方が人生長いんっすから、どーんっと先輩の思うとおりに生きていいと思うっす。
人生って自分でちゃんと決めないと、後悔するもんっすよ。
誰かに言われて決めたら、その人のせいにして人生虚しくなるっす。



