前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



あっれー、いつから婚約しましたっけ? 俺達。

おっかしいな。俺の記憶にはないんだけど。
 

話題を逸らすため、俺は彼女に“いづ屋”にはいつもひとりで行っているのかと尋ねた。

女子ってああいう茶屋(喫茶店)には数人で赴くものだって思っていたけど。


「基本的にはひとりだ」


あそこは自分の憩いの場にしているのだと御堂先輩。

友達とは学校内の食堂でワイワイガヤガヤするタイプらしい。


御堂先輩の友達ってどんな人たちなんだろうな、やや好奇心を抱きつつ彼女の話に耳を傾ける。
 

曰く御堂先輩は“いづ屋”で茶菓子を食べながら読書するのが大好きらしい。

時々は友達と行くこともあるらしいけど、ひとりの時間を設けたい時は茶屋に足を運ぶとか。
 

なにより和菓子が大好きらしい。

あんこが大好きで、つい食べ過ぎてしまうと御堂先輩は苦笑した。


へえ意外だ。
外貌からして洋菓子が好きそうに見えるけど、和菓子が好きなんだ。

失敗作であれど草団子をもぐもぐしている理由も分かる気がする。

新たな御堂先輩の一面を知れたことに、なんか得した気分。



バスが目の前を横切っていく。



俺達が乗らないって運転手さんも分かっていたみたい。

停まる素振りもなく滑走していった。


鼻につく排気ガスを無視して団子を頬張っていた俺だけど、ふとさっきの御堂先輩の態度を思い出して口の中のものを嚥下。


ぺろっとあんこがついた串を舐めた後に、「何か遭ったんっすか?」と彼女に尋ねる。


向こうの動きが止まった。

気付かない振りをして俺は言葉を重ねる。さっき鈴木さんの代わりにオーダーに赴いた時、妙に御堂先輩の機嫌が悪かった。

あれは単なる男嫌いのせいじゃないと思う。

男嫌いでも御堂先輩、少しは相手のことを考慮している節が見え隠れしているんだけど、今回はそれがなかった。

だからヤなことでもあったのかなーって思ったんだ。

言いたくなかったらそれ以上のことは聞かないつもりだけど、なんとなく聞きたくなった。