語尾にハートマークでもつきそうな砂糖たっぷりの声音に今度こそ俺は硬直。
ぎこちなく振り返ると、満面の笑みを浮かべた御堂先輩の姿が。
今日も相変わらずイケウーマンっすね。カッコイイと思うっす。
ばっちり男装しちゃってからにっ…、背丈もほぼ俺と同じだし…っ、じゃなくって!
「ちょぉお! せ、先輩っ、道端で何してくれるんっすか! は、放して下さいっ!」
此処、ほぼ職場の近くっすから!
俺の訴えなんぞスルーする御堂先輩は、「相変わらず触り心地が良いな」とお腹を撫で撫で。
ぎゃぁああ!
それはセクハラっ、逆セクハラっ、鈴理先輩と同じ変態さんになるのだけは勘弁して下さいっ!
逆セクハラされている俺、この上なく惨めっす!
早く解放してくれと懇願すると、「そうだな」豊福が頬にキスをしてくれたら放してやるぞ、なーんてケッタイな無茶振りを寄越してきた。
できるわけねぇーでしょう! 俺は彼女持ちっす!
「じゃあ僕がさっきの台詞をもう一度言うから、豊福は『捕まえられた』って笑顔で言う。それで解放してあげるよ」
な、なんっすかそれ。
どこぞのバカップルが『ハニー捕まえた』『やだダーリンに捕まっちゃった』とか言いそうな台詞に似てません? 似てませんか?
何よりアータと俺は友人であって、恋人じゃないっす。
そんなド阿呆な台詞を何故言わないとっ…、でも頬にキスするよりかはましだろう。
ええいっ、言葉攻めプレイ(?)くらいなら自尊心を捨ててやりますよ!
というわけでさっきのシーンTAKE2!
「豊福。捕まえた」
「つ、かまっちゃった」
「うーん、豊福。笑顔が無いぞ。しかも僕の方に振り向いて笑顔を向けなければ」
なんか演劇部に属しているプリンセスが細かいことを仰ってきたのでTAKE3!
「豊福。捕まえた」
「つ、捕まっちゃったなぁ」
「初々しいが台詞はスムーズに。此処はそういうシーンだぞ」
ちょっ…、すんげぇ細かいよプリンセス。
俺は演劇部じゃないっす!
でも納得してくれなさそうなんでTAKE4!
「豊福。捕まえた」
「捕まっちゃったなぁ!」
「………」
「…また駄目っすか?」
「………」
「先輩っ、ちょ…、な、なんか腕の力が強くなってっ…! せ、センパーイ!」



