本日のあがりは5時。
11時から休憩ありの6時間勤務だった。
店の制服から学校の制服に着替えた俺は、ロッカーに前者の制服を仕舞って先輩達にお疲れ様でしたと挨拶した。
店主の伊草さんや先輩達にお疲れ様と笑顔を向けられ、俺も笑顔を返す。
そのまま店の裏口から出ようとしたんだけど、「待って」鈴木さんに呼び止められた。
「今日はありがとう。これ、僕からの奢りだよ」
抹茶シェイクの入ったカップと、ビニール袋を差し出され、俺は目を輝かせる。
前者は約束の品物で、後者は鈴木さんお手製の草団子らしい。
「型崩れしちゃってお店に出せなくなったんだ」
失敗作品だけど良ければ食べてやって、彼の言葉に俺はあざーっすと頭を下げてそれらを受け取る。
確かにプラスチック容器に入っている草団子は歪な形をしていて、お店に出せそうにはない。
草団子の上にのっているあんこが変にデコレーションされているっていうか。曲がっているっていうか。
でもこれも立派なお団子だ。
「大事に食べるっす。本当にありがとうございますっす」
「ふふっ。喜んでもらえると僕も嬉しいよ。ここの職場、女が多いから君が入ってくれて助かってるんだ。シフト明日も入ってるよね?」
「はい。土日は基本的に全般入れてもらっていますっす。また明日、お世話になりますっす。特に機械系は。俺、まだレジが不安で。割引とか全然分からなくて」
「大丈夫だよ」すぐ覚えられるし、失敗は誰にでもあることだから。
綻んでくるノッポさんの笑顔に俺は癒された。
この人は癒し系だよな。
瀧さんとは別枠の癒し系だ。
話していてなんか和む。
俺は二度鈴木さんにお礼を言って、裏口から外に出た。
そこからぐるっと回って店内を覗き込んでみるんだけど、あれ、御堂先輩の姿がない。
販売エリアにはご婦人の姿が見受けられる。おはぎを買っているらしい。
飲食エリアは混んでいるけど、二列に並んでいるテーブルに目を配る限り、お一人様の客は見受けられない。
大抵二、三人がひとつのテーブルに着いている。
「帰っちゃったのかな」
御堂先輩も令嬢だし、もしかして急用が入ったのかもしれない。
生憎携帯番号もアドレスも知らないから、連絡も取れないし。もう少し付近を捜してみて、いなかったら帰ろうかな。
「とはいえ、この付近は駅があるからわりとエリアが広いな」
一体御堂先輩は何処にいいいいぃい?! い、い、今、腰を撫でられたような。
ピシッと硬直する俺の胴に腕が巻きついてきた。
ギョッと目を削ぐ間もなく、
「捕まえた」
とアマーイ声が。



