「いいえ。鈴理令嬢は、一般の方とお付き合いしているようですよ。
それはもうメロメロだそうで。大雅令息のことが気掛かりではありますが、とても睦ましい仲だそうです」


「鈴理が一般人と? それはまたどういう風の吹き回しだ」


瞠目する玲に、「本当にそうですね」クスクスと蘭子は笑声を漏らした。


「しかも通われている学院では、有名過ぎるほど彼氏さまにアプローチしているそうですよ。なんと言いますか、情熱的だそうです。

それにしても、どういう方なのでしょうね?
鈴理令嬢を夢中にさせるような男性って。

昔から鈴理令嬢は変わられたお方でしたけれど…、その彼女を受け入れてくれる男性が現れたことは確かなようです」


ふーん、窓枠に肘を突つき、頬杖をつく玲はちょいと思考を巡らせた。
 

「鈴理がメロメロになる、ねぇ。
あいつの男趣味は僕と共通しているところがあるからな。

きっと物凄い童顔の可愛らしい顔つき、まるで女のような可憐さを放っていて。体躯は小さく、抱き心地が良い…、まさしく守ってやりたい癒し草食系男子だと思うぞ。
ぽにゃほわ系に決まっている。容易に想像もついてしまうな。だが」
 
  
一度見てみたいものだ、鈴理を夢中にさせている男とやらを。
 
男嫌いではあるが好敵手の男には少しばかり興味が湧いてきた。

「僕が見極めてやる」

意地の悪い笑みを浮かべる玲は、その彼氏を一目見て鈴理の男の見る目を試してやると心中で決意。

どっちにしろボロクソ言ってやるんだけどな、と嬉々を溢れさせる玲は瞼を閉じて懐古する。