「見た目じゃ笹野の方が頭良さそうに見えるけどな」
アジくんの言葉に、エビくんが眼鏡を掛けているからでしょ、と不機嫌に返す。
眼鏡を掛けているイコール、頭がいいと思うなよって目が訴えていた。
睨みに怖い怖いとおどけるアジくんは、俺に視線を流してなにか見つかったか、と声を掛けてくる。
「うーん」高校生を雇ってくれそうなところはなかなかないや、俺は吐息をついて情報誌のページを捲った。
一番良いのはコンビニだろうけど、ちょっち時給がな。
深夜の時給は高いけど、昼間はギリ600円台だもんな。
俺、高校生だし。
四捨五入すれば700円だけど、贅沢を言えば700円台のバイトに就きたい。
勉強の時間を削ってバイトに入るんだ。
それなりの見積もりは欲しい。
給料10%カットだと、三日に一回はもやし炒めになる計算だもんな。
早くバイトを見つけないと。
だっけど良いバイトがないな…、ひとつ溜息を零し、俺は情報誌を閉じた。
「弱ったな」
一日でも早くバイトを見つけて食い扶持を探さないと生活ができない。
母さんの内職だけじゃ心配だしな。
俺自身の小遣いも欲しいところだし。
うんぬん悩んでは溜息をつく俺に、「焦るなって」焦っても結果は同じじゃないか、アジくんが励ましてくれた。
「なあ空。財閥の先輩達に相談してみたらどうだ? あの人達なら、働き口とか探してくれそうじゃんか」
「駄目だめ。鈴理先輩達には頼れないよ」
「なんで? 金を借りるわけじゃないじゃん」
「なんて言うのかな。財閥だから頼るとか、働き口が探せそうとか、そういった相談を向こうに持ちかけるのは嫌なんだよ。
鈴理先輩達は優しいから、頼めば探してくれそうだけどそれじゃ駄目な気がする。
これは俺の家の問題だし。先輩達とは純粋に恋人・友達関係でいたいんだ。余計な気を遣わせたらカッコ悪いじゃんか」



