前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「テープ起こしの内職です」


月収六万入りますよ、と母さん。俺はおおっと声を上げて拍手した。

ちなみにテープ起こしってどんな仕事かっていうと、簡単に言えば音声データのテープを起こす仕事。


会議や講演会等などで録音された音声をパソコンで文字にする仕事なんだって。


母さんは前にもデータ起こしをしたことがあるらしいから(母さんって機械には強いんだよな)、これをまた仕事にすると鼻高々に言い放った。


「パソコンは友人から借りますし、パート後に家でこの仕事をしようと思います。だから裕作さん、元気出してください」
 
「すまないなっ…、もっと稼ぎが良ければ」

「家族が健康に過ごせれば何よりじゃないですか。ね、空さん」


うんっと頷く俺だったけど、母さんもパートで仕事をしている身の上。パート後の内職は辛いんじゃないかな。


んじゃあ俺がテープ起こしをすりゃいいんだろうけど、生憎機械はてんで駄目なんだよな。

携帯のメールを打つのも、十分は普通に掛かるもん。


そろそろバイト見つけないとな。


両親ばっかに苦労は掛けられない。

悶々思案をしていると、「学生の本業は勉強ですよ」と母さんが先手を打ってきた。


俺は補助奨学生だ。

成績が落ちれば奨学生を外されてしまう。


折角苦労して学校に入ったんだから、ちゃんと卒業しなさい。

それが親の言い分だった。


それは分かる。

分かるんだけど、やっぱり何もしないってわけにはいかない。


せめて土日だけでも働けたら…、思いの丈が強くなった俺は決心した。


やっぱりバイトを探そう!

このままじゃ給料日前はいつも、もやし炒めになっちまう!