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前略、今日も不況の波にもまれながら汗水垂らしている父さん、母さん…、ではなく、天国にいる実親の父さん、母さん。
あなた方の息子豊福空はこっちの父さん母さんと緊急家族会議を開いている真っ最中です。
家族会議がある、イコールそれは家族内で良からぬことが起きた証拠です。
でも大丈夫、何が遭っても家族で力を合わせればきっと乗り越えられる筈です。
「そう、ですか。給料が10%カットに」
………た、多分。
ちゃぶ台を囲んでいる俺達の間に沈黙が落ちた。
シーンと静まり返っている居間の向こうに見える流し台から、ピチャンっと水音が聞こえる。
母さんが蛇口をしっかり捻っていなかったせいだろう。二、三度雫の落ちる音が聞こえてきた。
このご時勢、水だって一滴辺りにお値段がついているんだ。
無駄にはできな…じゃなくってえーっと、給料が10%カットか。厳しいな。
ちなみに給料が10%カットとはなんぞなもし? と思われた方、意味はそのまんまです。
来月から父さんの給料が10%カットされることになりました。
なんでかってそりゃあこの世の中、不況の不景気で就職難だぞ。
正社員になることだって難しいんだから、給料のカットだって当然出てくると思う。
父さんの勤めている会社の経営が苦しくて、来月から10%給料をカットする方針が固まったらしい。
既に同意書にはサインをさせられたそうな。
ただでさえ苦しい生活を強いられているのに、10%カットされたら堪ったもんじゃない。
ぶっちゃけ我が家では暮らしていけないレベルだ。
「すまない」
お前達には苦労を掛けてばかりだっ、父さんががっくりと項垂れる。
母さんも俺も大慌てで父さんを慰めた。
「裕作さんのせいじゃありませんよ。リストラされるよりは全然マシじゃありませんか」
「そうだよ。父さんが悪いわけじゃない。日本は不景気なんだから。カットされた分はどこかで節約すればいいんだし」
けど父さんの気は病みっぱなしだ。すっげぇ落ち込んでいる。
「裕作さん」大丈夫ですよ、私、内職見つけましたから。先に給料カットの報告を受けていた母さんがどどーんとチラシを広げた。
今も内職をしている我が家、その内職も短期だからもうすぐ終わってしまう。
だから母さんは他の内職を探していたらしい。



