「(ば、馬鹿なことはやめて下さいって。早く布団に戻っ…、ちょ、何処触って)」
「(空の脇腹)」
「(皆まで言わなくても分かってるっす! へっ、変に撫でないで下さいって)」
くすぐったいでしょ。
俺の訴えも知らん振りで先輩が擦り寄ってくる。
目と鼻の先に先輩の顔があるもんだから、眠るどころじゃない!
ほんっと勘弁してくださいよ。
此処、相部屋になっちゃってるんっすよ。
すぐ隣には両親がイ゛ッ…、俺は必死に声を押し殺した。
アッブネェ。
今、先輩に鎖骨を噛まれたもんだから声が出そうになった。い、痛かった。
「(せ、先輩)」
彼女を睨むも愉快に笑う攻め女。
ザ・あたし様は、
「(気付かれたくなかったら声は抑えることだぞ)」
と横暴なことをほざきやがりました。
な、な、なんてあたし様だ!
この人は我が家に泊まってまであたし様だったよ! 分かっていたけど!
戻れと言っても言うことを聞いてくれないお嬢様に、俺は溜息をついて逆セクハラは駄目ですからねと釘を刺した。
どーせ何を言っても無駄だろう。
先輩が眠ってしまってから行動を起こすしかない。朝までにはこの状況を打破しないと。
父さん母さんに見られるわけにはいかないんだって。
って、思っている傍からまた腹を触るんだから。この人は。
「(先輩っ…、怒りますよ)」
「(ぬっ、キレデレになるのか!)」
「(ケータイ小説に思考を持っていかないで下さいっす! 俺はキレにデレなんて入れませんから!)」
「(あたしに向かってキレるとな? それはいい度胸だ。今すぐ襲ってやる!)」
「(だぁああからぁあ! 両親が隣で寝ているんっすからっ、おとなしくしていて下さい!)」



