前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「(ば、馬鹿なことはやめて下さいって。早く布団に戻っ…、ちょ、何処触って)」

「(空の脇腹)」

「(皆まで言わなくても分かってるっす! へっ、変に撫でないで下さいって)」
 

くすぐったいでしょ。

俺の訴えも知らん振りで先輩が擦り寄ってくる。

目と鼻の先に先輩の顔があるもんだから、眠るどころじゃない!


ほんっと勘弁してくださいよ。

此処、相部屋になっちゃってるんっすよ。


すぐ隣には両親がイ゛ッ…、俺は必死に声を押し殺した。


アッブネェ。


今、先輩に鎖骨を噛まれたもんだから声が出そうになった。い、痛かった。

「(せ、先輩)」

彼女を睨むも愉快に笑う攻め女。

ザ・あたし様は、

「(気付かれたくなかったら声は抑えることだぞ)」

と横暴なことをほざきやがりました。

な、な、なんてあたし様だ!
この人は我が家に泊まってまであたし様だったよ! 分かっていたけど!


戻れと言っても言うことを聞いてくれないお嬢様に、俺は溜息をついて逆セクハラは駄目ですからねと釘を刺した。


どーせ何を言っても無駄だろう。

先輩が眠ってしまってから行動を起こすしかない。朝までにはこの状況を打破しないと。


父さん母さんに見られるわけにはいかないんだって。


って、思っている傍からまた腹を触るんだから。この人は。


「(先輩っ…、怒りますよ)」

「(ぬっ、キレデレになるのか!)」

「(ケータイ小説に思考を持っていかないで下さいっす! 俺はキレにデレなんて入れませんから!)」


「(あたしに向かってキレるとな? それはいい度胸だ。今すぐ襲ってやる!)」

「(だぁああからぁあ! 両親が隣で寝ているんっすからっ、おとなしくしていて下さい!)」