いつまでも三点リーダーを醸し出していると母さんが夕飯後はお先にお風呂へ入って下さいな、と彼女に微笑した。
「ありがとうございます」
礼を告げる彼女は俺に視線を流し、一緒に入るかと爆弾発言を投下。
ぶはっ、米粒を茶碗に飛ばす俺に、冗談だと鈴理先輩が笑声を零す。両親も俺の照れっぷりに笑っているんだけど、俺は気付いていた。
今のは冗談じゃない、本気だと。
だって彼女と目が合った瞬間、すべてを察してしまったんだ。
べつにいいんだぞ、一緒に入っていいんだぞ、あたしは本気だぞって…っ、彼女の目がそう俺に訴えていた!
(両親がいるから手出ししてこないと思ったのにっ…、逆手に取られた。俺の方が変に反論できないや)
恐るべし、攻め女!
夕飯後、鈴理先輩は早々とお風呂に向かった。
先輩は何も言わなかったけど、多分浴室狭いとか思ったんじゃないだろうか。
特に浴槽は狭いからそこは我慢してもらいたい。
庶民の風呂なんて所詮そんなものだ。
母さんが彼女にシャワーの出し方を教えていたから、俺の出番はなし。
平和に居間で父さんと談笑していた。
先輩が上がると俺が風呂に入り、上がったら一緒にお菓子を間食して談笑。
両親交えて談笑したから、本当に平和だった。夕方の出来事が嘘みたいに思える。
なにより先輩が楽しそうだったから良かったと思えた。
このまま何事もなく終わるんだろうな。
どーせ先輩も両親の前じゃ下手に動けないだろうし。
なーんて悠長なことを思っていた俺だったけど恐怖が訪れるのはこの後のことだった。



