ドッドッド。
心音を鳴らしている俺に、「あたしはいつものが好きだがな」と先輩は回していた手を背中に下げた。
どうすることもできず、俺は彼女を見下ろすしかない。
鈴理先輩は長い睫を微動させ、ふっくらとした唇を歪曲にすると骨張った指を伸ばしてボタンへ。
すべてのボタンを外してしまう動作に、いつもなら止めに入るんだけど…、いや、だって彼女が下にいてっ。
「おっ、俺、退きますっす!」
どうにか我に返った俺は体中の熱を感じながら、素早く上体を起こす。
「もういいのか?」
腕を掴んで制する鈴理先輩は、やっぱりいつもの体勢が落ち着くか? と微笑し、力強い手腕で立ち位置を正反対にさせてしまう。
「アイデ!」
背中を打ちつけた俺は馬乗りになってくる鈴理先輩に気付き、おずおずと視線を合わせた。
「やっぱり空を見下ろす方が好きだ」
なーんてのたまわれる彼女は、俺を畳みに縫い付けて額に唇を落とす。
そっと髪をすいてくる先輩は言葉を重ねた。
「世間からしてみれば変わっているかもしれんが」
あたしは攻められるより、攻める方が好きだ、今更過ぎる情報を教えてくれる先輩。何か意図する言葉だけど、俺には本心が見えない。
彼女は何を思って言葉を発したんだろう?
だから俺は彼女を見上げて、
「世間からしてみれば変わっているかもしれませんけど」
俺は貴方にだけ男ポジションを許していますっす、と返答。



