好奇心を宿した瞳をあちらこちらに向ける彼女は早速俺の机に赴き、机上を覗き込んでいた。
亡くなった両親と今の両親、両方が飾られた写真立てに一笑してくれる優しい彼女に俺もこっそりと一笑を零し、
「お茶でも淹れますね」
麦茶と煎茶、どちらがいいですか? 俺は鞄をちゃぶ台に置いて彼女に尋ねる。
「煎茶がいいな。だがその前に着替えて良いか?」
シャツがやや汗臭いんだ。
加えて制服のままで過ごすより、私服で過ごしたいと鈴理先輩が申し出た。
俺は勿論だと快諾する。
折角家に来てくれたんだ。
ゆっくりと寛いで欲しい。
これは先輩を元気付けるための泊まり会でもあるんだから。
うーん、俺も着替えようかな。
家着は人前では着れなくなった古着だけど、彼女ならドケチな俺を知って…、げふん、節約心に心がけている俺を知っているから、ボロいと笑ってもそれで終わるだろうし。
お茶の下準備が終わったら俺も着替えよう、そうしよう。
先輩に狭い洗面所を案内して、此処で着替えてくれと指示すると俺は台所に戻ってお茶っ葉を準備するために戸棚へ。
ちゃっちゃか用意をするとヤカンに水を入れてガスコンロに設置。
つまみを回し、火を掛けている間に着替えをするために机付近のハンガー掛けに赴いた。
「空。制服を掛けるハンガーはあるか?」
ハンガーにブレザーを掛けていると、着替え終わった先輩がひょっこりと顔を出した。
やけに早い着替えだったなぁ。
もっと時間が掛かると思ったんだけど。
先輩はラフだけどお金持ちお嬢様の雰囲気を醸し出すレース付きの可愛らしいに、ベージュの短パンを履いていた。
「ありますよ」
俺はハンガー掛けにハンガーを戻し、予備のハンガーを押入れから取り出すとそれを彼女に手渡した。
適当にカーテンレールに掛けてて良いからと微笑し、俺は中断していた着替えを再開。
ボタンを一つ外して、二つ外して、み……、この背後から感じる邪悪な視線は。
カッターシャツのボタンを外すに外せなくなった俺は愛想笑いを浮かべながら、ぎこちなーく後ろをチラ見。
きっらきらとした輝かしい眼が全力で俺に注がれていました。まる。
……、ふう、やーれやれなんだぜ。



