前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―


 
こうして恥ずかしい思いばかりさせられる俺はこの後、先輩と何故かコンビニに赴き、お菓子を多めに購入。

先輩曰く入る機会が少ないそうだから(入ったことないわけじゃないらしい)、是非この機に入ってみたかったんだとさ。

「あまり市販の菓子は食べられないしな」

沢山買ったし空のご家族への土産にしよう、と言う鈴理先輩。

彼女のお父さんのクレジットカードでそれらを購入していた異様な光景といったら。いったら。
 

コンビニから出ると俺達は今度こそ寄り道せずに帰宅路を歩くことにした。

あんま寄り道していても(主に先輩が)金を浪費するだけだ。
 

「あ、持ちましょうか?」


多めに購入したわけだし、此処は男としてその荷物を持とうかと彼女に気遣いを見せる。

普通は遠慮もしくは喜んで手渡してくれるところなんだけど、変わり者の彼女は損ねた表情で「あたしは空の王子だ」姫が荷物持ちなど論外だと主張してそっぽ向いてしまうという。
 

なんで機嫌を損ねてしまうやら。

取り扱いに困ってしまう肉食お嬢様の機嫌を回復するため(そしてやっぱり男として動きたいため)、俺は彼女の持っている荷物ごと手を握った。

最初こそ不機嫌に一瞥してくる彼女だったけど、

「しっかり手を繋いでおかないと」

俺、どっか行っちゃいますよ? と軽い発破を掛けたために一変して呆け顔へ。

そして笑声を漏らし、「そうか」だったら繋いでおくとしようか、と俺の挑発に乗ってくれた。


何故だろう。

挑発したのは俺なのに、小っ恥ずかしい思いをしたのも俺という。
 


……ごっほん、閑話休題!



アパートに到着すると、俺は彼女と共に階段を上がって自分の住む部屋に赴いた。

「あれ?」部屋の前にスポーツバッグが置いてあることに気付き、俺は首を傾げてしまう。

このバックは…、「うむ。あれはあたしの私物だ」持ち主は早々に見つかった。あれは鈴理先輩のバッグらしい。

曰く、寝泊り具をばあやさんに持って来てもらったとか。

どーりで彼女の荷物が通常どおりと思ったら。
 

「それじゃあ、家に入りましょうか。狭い部屋っすけど」


今日明日は寛いで下さいね。

俺は彼女に綻び、我が家だと思って欲しいと言葉を添えるとドアノブを回す。 


挨拶を入って中に入る彼女だけれど、今は部屋に誰もいない。両親は仕事なんだ。

今日も汗水垂らして家計を助けてくれている親には頭が下がらないよな。