前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



ぎゃぁああああっ、先輩のおばか、おばか!

俺、周囲の殺意を買っている気が…っ、リア充爆発しろって罵られたら先輩のせいっすからね! うぎゃぁああああ! しつこいぃいいい!
 
濃厚なちゅーを強制的に交わした俺は最悪だとしゃがんでどどーんと落ち込み、

「甘酸っぱいどころか」

甘さマックスだったな、先輩はいたらん感想を述べて満面の笑顔を浮かべていた。

スプーンでアイスを掬い取り、口元に運ぶ彼女は美味しいとそれを咀嚼。

空と同じ味がする、とか、またいたらん感想を述べている。
 

「空、おかわりは?」

「遠慮しますっす!」


「なんだ。ノリの悪い奴だな」鈴理先輩はパクリと溶けかけたストロベリーアイスを口に入れ、美味しいおいしいと味を堪能。


唸り声を上げる俺は膝に肘をついて頬杖をつく。


昼下がりの通りで俺、彼女となあにしてるんでっしゃろう。

今の光景、絶対通行人に見られたよな。チラッと視線を上げれば、森崎さん達が(さっきのガードマンな)通行人の視界を遮るように立っていた。


……まさか、あれ、俺達への配慮か?

訝しげに森崎さん達を避ける通行人の視線は彼等に注いでいる。

サングラスのブリッチ部分を押してどっしり壁となっている彼等を一瞥した彼女は、「邪魔かもしれんが」我慢してくれ、と片手を出してきた。


「父さまが誘拐事件を引き摺っているのだ。ガードしてくれるのは嬉しいが、過度なガードも如何なものだろう。うむ、折角の公開ちゅーが台無しだな。だが安心しろ、空。あんたのガードも両親に頼んでいるから、何かあればすぐ森崎達が駆けつけてくれるぞ!」
 

俺は常日頃から、誰かに見守られているんっすね。なるほど。


……嬉しくないっす。


知りたくなかった事実に俺は二度目の溜息。下手なことできない…、んにゃ、下手なことはさせられないじゃないか。


「常に公開プレイなんて」


鬱々とする俺の隣ではアイスを美味しそうに平らげる唯我独尊の彼女がいたという。