目を点にする俺を余所に、
「生意気すると今度はべろちゅーだ」
満面の笑みを浮かべる鈴理先輩は食指で俺の唇をなぞった。
白昼堂々本屋の前でキスされたことに気付き、俺は絶句してしまう。
あ、ありえねぇ!
こんなところで、こんったらところでキスするなんて!
数十秒前に人目を気にしようって訴えたばっかだったのに!
羞恥に震える俺に先輩はトドメを刺してきた。
「森崎達に見せ付けてやったな」
「もりさき?」
ニンマリ笑みを浮かべてくる鈴理先輩が次の店に行こうと足を動かし始める。
数秒間を置いて俺は森崎と呼ばれる人物達が、あのガードマン達を指すことに気付き、「先輩は意地悪だぁあ!」半狂乱になって絶叫した。
あぁああ、ありえないっ、あの肉食お嬢様っ…、俺が人目、否、ガードマンの目を気にしているのを知ってわざとキスするなんて! ドエスっ、先輩のドエス!
前を歩く先輩からは能天気に笑われてしまい、それがまた羞恥を煽る結果になったのは蛇足としておく。



