前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



さて大量の本を購入した鈴理先輩は俺を従えて、次の店に行くかと先導する。

その際、紙袋二つ分の本を持って行動……、するかと思いきや先輩がいつの間に呼んだのか、店の外に出るとお松さんが待機。

荷物を持って颯爽と去ってしまった。

「さすがばあやだ」

空気を読んでくれる素晴らしい教育係だと彼女は綻んでいたけど、俺的には「何処かで監視していたんじゃ」と挙動不審になっていたりいなかたり。


(ん? あの見覚えあるグラサン男は)


ふと俺はイタリアンパスタ店の看板に隠れているスーツ姿のごつい男に気付き、ギョッと目を削いでしまう。

よくよく見るとグラサン男が二、三人、見受けられたり。

あいつ等は以前、俺が風邪でぶっ倒れた時に乗り込んできた取立て屋…、じゃね、先輩のガードマン!


俺の視線に気付いたグラサン男のひとりが静かに敬礼してきた。


太陽に煌くグラサンが「ご安心を。あなた方の身の安全は此方で保障します」と訴えてくる。

前に俺と先輩は誘拐事件を起しているから(不本意だけど)、何かとガードマンが見張ってくれているんだろうけど、これは、下手なことができないのでは。


言葉を失っていると、「何をしている?」行くぞ、鈴理先輩が声を掛けてきた。んでもって腰を引いてくる。大切なことでもう一度、先輩が腕ではなく腰を引いてきた。

「ぎゃっ!」

悲鳴を上げる俺は普通にしましょうと主張するんだけど、「普通ではないか?」いつもしていることだろ? 今更何を言っているんだとばかりに先輩が首を傾げてくる。

た、確かに今更な訴えかもしれませんけどっ、けど!
 

「此処はお外っす! も、もうちょっと人目を気にしましょうよ! あ、そうだ! 今日のお泊まり会は俺が主催したんで、俺がリードします!」

「要約すると、リード権をあたしから奪うだと?」


いや、そんな大それた意味合いはないんだけど。

手遊びをしつつ、俺は背後のガードマンの視線を気にする。

改めて先輩側の人間がいると認識してしまうと、なんか受け身な自分が恥ずかしくなってきた。


ここはガツーンと男を見せたい。

攻めはしないけど(というかできないけど)、ガツーンと男としての器をっ、ちゅっ。


へっ、ちゅっ?