さて大量の本を購入した鈴理先輩は俺を従えて、次の店に行くかと先導する。
その際、紙袋二つ分の本を持って行動……、するかと思いきや先輩がいつの間に呼んだのか、店の外に出るとお松さんが待機。
荷物を持って颯爽と去ってしまった。
「さすがばあやだ」
空気を読んでくれる素晴らしい教育係だと彼女は綻んでいたけど、俺的には「何処かで監視していたんじゃ」と挙動不審になっていたりいなかたり。
(ん? あの見覚えあるグラサン男は)
ふと俺はイタリアンパスタ店の看板に隠れているスーツ姿のごつい男に気付き、ギョッと目を削いでしまう。
よくよく見るとグラサン男が二、三人、見受けられたり。
あいつ等は以前、俺が風邪でぶっ倒れた時に乗り込んできた取立て屋…、じゃね、先輩のガードマン!
俺の視線に気付いたグラサン男のひとりが静かに敬礼してきた。
太陽に煌くグラサンが「ご安心を。あなた方の身の安全は此方で保障します」と訴えてくる。
前に俺と先輩は誘拐事件を起しているから(不本意だけど)、何かとガードマンが見張ってくれているんだろうけど、これは、下手なことができないのでは。
言葉を失っていると、「何をしている?」行くぞ、鈴理先輩が声を掛けてきた。んでもって腰を引いてくる。大切なことでもう一度、先輩が腕ではなく腰を引いてきた。
「ぎゃっ!」
悲鳴を上げる俺は普通にしましょうと主張するんだけど、「普通ではないか?」いつもしていることだろ? 今更何を言っているんだとばかりに先輩が首を傾げてくる。
た、確かに今更な訴えかもしれませんけどっ、けど!
「此処はお外っす! も、もうちょっと人目を気にしましょうよ! あ、そうだ! 今日のお泊まり会は俺が主催したんで、俺がリードします!」
「要約すると、リード権をあたしから奪うだと?」
いや、そんな大それた意味合いはないんだけど。
手遊びをしつつ、俺は背後のガードマンの視線を気にする。
改めて先輩側の人間がいると認識してしまうと、なんか受け身な自分が恥ずかしくなってきた。
ここはガツーンと男を見せたい。
攻めはしないけど(というかできないけど)、ガツーンと男としての器をっ、ちゅっ。
へっ、ちゅっ?



