「多分、鈴理と豊福の状態が逆だったら…、俺は豊福を殴り飛ばしていたと思う」
何故?
自分の問い掛けに、「豊福は男だからな」逆じゃ駄目なんだ、と簡潔な答えをくれた。
まったくもって答えになっていない。
男だから、女だから、そんな理由付けをされても説得力がない。
彼は護身術も何も持っていないのに、それでもこれで良かったのかと相手に詰問。
許婚は微苦笑を零して、「そうは言ってねぇ」けど、逆じゃ駄目なのだと繰り返した。
「いざって時に守れねぇ男なんてさ、男じゃねえじゃん。なんっつーのかなぁ、男にしか分からねぇと思うぜ。この気持ち。
きっと俺と鈴理が同じ目に遭って、鈴理が豊福のようになっちまったら…、豊福は俺を殴り飛ばすんじゃねえかな」
「理解不可能だ。あたしには分からん…っ、あたしには分からないぞ。大雅」
あたしは空を守りたかったのだ、守られるでは嫌だったのだ、そう訴えて項垂れる。
「俺はこれで良かったよ」
軽く頭を撫でてくる許婚は、ちったぁ女らしく守られとけと言葉を掛けてくれた。
嫌だと主張する自分は、悔しいと相手に愚痴を零した。
彼のせいでとても悔しい思いを噛み締めている。
元気にならないと許してやらない、嗚咽交じりに許婚に苦言。
相手の膝を叩いて、やり場のない気持ちをぶつける。
何も言わず感情を受け止めてくれる許婚は、ただただクシャリと頭を撫でてくれた。
「大雅っ…、あたしはもう守られてやらない。今度はな…、何があっても空を全力で守る。正真正銘の騎士になってやる」
「そーかよ。そりゃ豊福も大変だな、あいつもいざとなったら騎士になりたいだろうに」
「譲らない。譲ってやらないのだ。絶対に」



