結婚うんぬんかんぬんをこの歳で考えるには早過ぎますっすよ。
法律上、男は18歳にならないと結婚できないですし。
お付き合いイコール結婚するなんて、十代の恋愛ではそう簡単に考えてはいないと思いますっす。
結婚は生涯のパートナーを決めるもんですし。
将来の財閥を背負う皆さんとは価値観が違うっすよ。
俺と鈴理先輩だってお互いに結婚のことなんて考えたことはないし。
率直に物申す俺の意見に、「食いたいとは思っているがな」我が彼女が攻め顔でニヤリと笑った。
この人は…、どーしてそういうことしか言わないんだろう。
溜息をつく俺はみたらし団子を手に取ってそれにかぶついた。
口には出さないけど、鈴理先輩には大雅先輩という許婚もいるしなぁ。
お付き合いで手一杯の俺には、結婚とか大それた行事ごとを想像したこともないや。
「御堂先輩は許婚さんとかいないんっすか?」
「男は好きじゃないからな。許婚などすべて切ってしまった。今は婚約者がいるけどな」
俺のことっすか? そうっすよね? 婚約してませんからね!
「素朴な質問ですけど、絶対に許婚っていないと駄目なんですか?」
それまで静聴していたエビくんが口を出してきた。
駄目というわけじゃないぞ、男嫌いの御堂先輩が若干不機嫌に返答するけど、そこまで嫌悪感を表に出さないのは彼が俺の友達だからだろう。
絶対にいないと駄目なら御堂財閥はとっくに終わっていると肩を竦める。
「一応世継ぎが必要だからな」
親同士が勝手に許婚を決めているのだと、鈴理先輩が補足した。
「財閥同士で許婚を作るのは、血筋を作ってより深い提携を目指している。と、言ったところか」
「へー。なんか大変なんだなぁ、財閥の世界も」
アジくんが庶民の自分には分からないと言いながら、みたらし団子を口に押し込む。
だけど今の時代、血筋や身分、政略結婚なんて古風な考えも薄れているから、空達は大丈夫だよな。
「鈴理先輩とお前、大丈夫っぽいし」
アジくんがニッと男前に微笑を浮かべた。笑みを返した俺だけど、内心ではアジくんの言葉を否定している。
―…身分の壁は今も健在している、と。



