あはははっ、周囲の皆が痛い目で見てきている気がする。

先輩方から揶揄の声も聞こえる気がする。


気にしちゃダメだって思っても俺のハート、傷付きそう!

だって俺、これでも一応男の子!
受け身でも男の子なんだものっ、自尊心がズタボロのボロクソだ。
 

ううっ、毎度ながらのこの公開処刑ならぬ公開プレイもどきっ、どうにかしてくれないかな。

廊下でこんな羞恥プレイとか、軽くトラウマになりそうなんだけど。


心中で涙を呑む俺を余所に、「あんたはあたしのものだ」彼女がはっきりと物申した。
  

「所有物のクセに、誰彼触らせるなんていただけないな。誰が許可した? んー?」


グッと顔の距離を詰めてくる彼女、微かな吐息が顔に当たる。
 



「あたしのものはあたしのもの。あんたのものも、あたしのもの。―…なあ、そうだろ、お姫さま?」
  


 
嗚呼、前略、今日も不況の波に抗おうと必死こいて働いている父さん、母さん。
 

あなた方の息子、豊福空は今日も今日とて攻め女という持論を掲げている肉食系お嬢様に攻められています。


ヘタレ受け身草食系息子でごめんなさい。


でも、彼女には敵いません。
こんな攻撃型肉食系女子に誰が勝てるのでしょう?

あの幼馴染み許婚さんだって力や行動で負けることがあるのですから(負けて女装をさせられたことも多々だとか)、本当に強い女性です。

それに俺自身もこのポジションに慣れつつあります、定着もしつつあります。

なにより好きな人が男ポジションを望んでいるんです。
少しくらい自尊心が傷付いても、喜ぶ顔を見たいんですよ。


……言い訳だといえば言い訳ですけどね、これ。


どっちにしろ、男ポジションに立てるものなら、攻めポジションに立てるものなら、それらができるものならとっくにやっています。

ほんっと、おれの彼女は何処までも我が道まっしぐらでジコチューのあたし様。


何もかもあたしの言うとおりにならないと気に食わない、俺の、おれの。