俺と鈴理先輩は間の抜けた顔で、テーブルに置かれたビニール袋の中身を覗き込む。
そこには言い争っていたみたらし団子が二本。
視線を上げれば、御堂先輩がこれでいいんだろうとイケメン(イケウーマン?)に綻んできた。
どうやら俺達が言い合っている間に御堂先輩が買って来てくれたらしい。
「なあに心配するな」財布は僕持ちじゃないから、とキラッキラした笑顔を振り撒く男装女性。
俺はチラッと向こうのテーブルを見つめた。
そこにはシクシクと泣いている柳先輩の姿が。
あぁああ、なんかすみません。俺のせいでまた奢らせてしまって。
だけど感謝っす、どうもっす。
おかげで親への土産ができたっす。
ぶうと脹れている鈴理先輩は余計な事を、と唇を尖らせた。
「空に体で支払わせようと思ったのに。玲はKYだな」
「僕は嫁のために動いただけだ。なにせ豊福のご両親は、僕にとって未来のご両親になるのだから。孫の顔も見てもらいたいし、彼のご両親には体を大事にして欲しいんだ」
ゴフッ、ゲホッ、お茶を啜っていたフライト兄弟が揃って噴き出しそうになっていた。
俺は俺で石化している。
本気で言ってるんっすか、御堂先輩。
え、まご、孫ぉ?
それって俺達の子供のお話っすか?
……ヤだなぁもう、ご冗談が上手いんっすからぁ。
「そりゃあ御堂先輩のお子さまは見てみたいっすけど。きっと御堂先輩に似て、イケた子が生まれるんでしょうね」
「僕は男の子と女の子、両方欲しいな。豊福」
「……、えーっと四人家族構成ご希望っすかぁ」
「もっと欲しいなら頑張るぞ」
ニコニコッと笑顔を向けてくる御堂先輩に俺は、空笑いを浮かべたまま不自然に視線を逸らした。
駄目だ、完全に彼女の家庭図に俺という人間が入ってしまっている。
どうしよう、俺、彼女の脳内で既に結婚しちまってるよ。
架空の俺は既婚者になっちまった。しかも妻子持ち。
ああっ、どうしたものかねぇ。
「いやぁ。俺には彼女が」
やんわり無理ですアピールをしても、
「結婚するわけじゃないだろ?」
だから今はこのポジションで我慢しているのだと御堂先輩は頬杖をついた。



